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有村「支えられた10年」東北を思い“涙”

2021年3月11日 19:22
有村「支えられた10年」東北を思い“涙”

◆明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント(12~14日、高知・土佐CC)

東日本大震災から10年を迎えた11日、宮城・東北高校出身の女子ゴルフ・有村智恵選手(33)が大会の前日会見に臨み、「出会った方に支えられた10年だった」と、周囲への感謝を涙ながらに語りました。

■変わり果てた“第二の故郷”に衝撃「夜、部屋に帰ってからテレビを見て言葉を失った」

地元・熊本を離れ、高校時代を宮城で過ごした有村選手。“第二の故郷”の変わり果てた姿に衝撃を受けました。実は震災当日、高知での大会に出場していて、被害の様子を目の当たりにしたのは宿泊先に帰ってからでした。

どうすることもできない状況に、もどかしさを感じていた有村選手は、「身近な人たちがあの中にいたと思うと、怖さもありましたし、たくさんの友達や知り合いと1週間くらい連絡が取れなかった」と、当時の様子を振り返りました。

被害の状況が徐々にわかり、モヤモヤした気持ちになることも多かったという有村選手。「自分の存在価値を見失ってしまっていた。本当にゴルフをしていていいのか、自分がゴルフをしていて社会の役に立っているのか」と、自問自答の日々を過ごしました。

その中で生まれた「今まで通りの日常を取り戻したい、育ててくれた東北に少しでも勇気を与えたい」という思い。有村選手は毎年被災地を訪れ、スポーツ交流などで支援活動を行ってきました。

そういった活動を通して得た経験は自らのプレーにも生きていると言い、「自分自身がスランプに陥って、もう諦めたくなった時もたくさんあった。そういった時でも、どこかであの時会った子供たちや、東北の人たちが見ているかもしれない。頑張らないと、という気持ちに何回もさせてもらえた」と、パワーの源になっていることを明かしました。

震災から10年。改めて“人の強さ”を感じているという有村選手は更なる復興へ向け、「スポーツやエンターテインメントの力はすごく大きいと思っていて、ありがたいことに女子ゴルフもたくさん注目していただいている。いい成績を残すことで前向きになってくれる人たちがいるかな、と思いながらやっていきたい」と、プロアスリートとしてゴルフで笑顔を届けていくことを誓いました。

写真:日刊スポーツ/アフロ