重責も高橋「自信あった」五輪出場枠獲得
レスリングの東京五輪世界最終予選が6日、ブルガリアで始まり、初日は男子フリーの試合が行われました。最軽量級の57キロ級には山梨学院大学職員の高橋侑希選手が出場。先月、アジア予選で計量失格となった樋口黎選手のかわりに見事、日本の出場枠を勝ち取りました。
五輪枠がかかった準決勝。相手は2019年、U23世界選手権で優勝したこともあるキューバの若手有望選手です。
試合中は落ち着いて相手の動きが見えていたという高橋選手は、持ち味の素早い動きで相手の攻撃をかわします。第1ピリオド、2分を経過したところで低い姿勢から相手の左足に飛びつくと、そのままバックをとり2点を奪います。
これが決勝点となり、高橋選手が日本の出場枠を獲得。その直後、高橋選手にしては珍しく感情をあらわにし、セコンドについていた小幡邦彦コーチに思わず抱きつく場面も。
「コロナでリスクもある中、サポートしてくれたのは嬉しかった。結果で恩返しできて良かったなと思います。思わず抱きついてしまいました」
また、マットを下りる前に一礼したときには涙が出たのか、目頭を押さえたようにも見えました。
試合後には、「ホッとした。見ている方をヒヤヒヤさせた試合だったと思うんですけど、僕なりに余裕があっていつでもタックル行けば(点を)とれる自信はあった。五輪がかかっている試合で慎重になったけど、相手の動きは見えていました」と話しました。
今年から母校・山梨学院大学のコーチになり、レスリングに対する意識も変わりました。
「学生に恥ずかしい姿を見せられないとか、背中を見せたいというのもあったんで。(夜遅かったけど試合を)見てくれた子もいると思う。感謝の気持ちでいっぱいです」
日本の出場枠は高橋選手が勝ち取りましたが、日本国内の東京五輪選考会となった2019年の全日本選手権で樋口選手に負けているため、帰国後に東京五輪出場をかけてプレーオフを行うことになります。
「(プレーオフは)勝つしかないでしょって感じです。『僕が切符をとってきたんで、僕が出るのが当たり前でしょ』という感じで、のぞみます」
高橋選手はブルガリアから帰国後、2週間の隔離措置をとることになっています。
提供:日本レスリング協会