BMX「大会MC」会場盛り上げるテクとは
■軽快で独特…会場盛り上げる大会MC
8月1日に有明アーバンスポーツパークで決勝が行われるBMXフリースタイル。競技が行われる会場には、テレビ中継の実況や解説とは別に、独特の口調で競技の進行役を務める「大会MC」がいます。
「大会MC」の役割りは、選手紹介やライディングの実況のほか、競技の残り時間をアナウンスしたり、得点を発表するなど多岐にわたり、専門的な知識が必要なことから多くは現役のライダーやBMX経験者が務めます。
軽快な口調でどう会場を盛り上げるのか。
国内大会でMCを務めるプロライダーの米田大輔さん(31)は言葉数が多いのが特徴だと話します。
米田大輔さん「スケートボードなど他のアーバンスポーツにもMCはいますが、BMXフリースタイル・パークは、繰り出される技の多さからも、特にMCが発する言葉数が多いと思います」
■まるで早口言葉…技、瞬時に見極め言葉に変換
なかでもトリックを連続的に行うコンボの実況はMCの見どころのひとつで、瞬時に複数の技を見分けて言葉にするといいます。
例えば、ジャンプ中に体と自転車を一緒に360度横回転させる「360(スリーシックスティ)」、ハンドルを軸に自転車の車体のみを360度横回転させる「テールウィップ」、ハンドルを360度1回転させる「バースピン」、これらの3つのトリックを連続して行った場合、「360(スリーシックスティ) テールウィップ トゥ バースピン」とそれぞれのトリック名をつなぎ合わせて実況を行います。
トリックの数が増えると、それだけ実況するコンボ名も長くなります。一瞬のうちに繰り出される連続技を瞬時に見極め、早く正確に実況する必要があります。
そのため、米田さんは、目で見るだけでなく、グリップをつかむ音や、ハンドルを回す音など、現場で聞こえるわずかな音にも耳を傾けるなど、ライダーとしての感覚を研ぎ澄まして臨んでいるといいます。
■ポジティブで格好良く…選手の気分高める雰囲気作り
また、米田さんはMCを務めるうえで、選手のモチベーションを高めることを最も意識しているといいます。
選手として海外の大会に出場したとき、大会MCに気分を上げてもらい良いパフォーマンスにつながった経験から、失敗してもネガティブな言葉を使わずに、「次がある!」「これからだ!」などポジティブな言葉を発することを意識し、選手たちに気分よくライディングしてもらう雰囲気作りを心掛けているといいます。
米田さんは、大会MCはあくまでも大会を盛り上げる“わき役”とした上で、遊び心があるストリートカルチャーならではの、“くだけた格好良い喋り”を楽しんでほしいと話します。
大会MCはそれぞれ個性があり、人によって言い回しや表現も変わります。五輪中継を見ながら、会場に流れるMCの声に耳をすましてみるのもBMX観戦の楽しみ方のひとつかもしれません。