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大学駅伝の勢力図に異変?東京国際が出雲V

2021年10月11日 20:00
大学駅伝の勢力図に異変?東京国際が出雲V

10日、大学三大駅伝の初戦となる出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)が2年ぶりに開催されました。6区間45.1kmで競う出雲駅伝は、箱根駅伝や全日本大学駅伝と比べて距離が短く、スピード駅伝とも称されます。

この日は、スタート時の気温が30.5度と、10月としては異例の暑さが思わぬ大敵となりました。なかなか持ちタイム通りに力を発揮できない選手が多いなか、安定したレース運びを見せたのが、今回初出場の東京国際大でした。

序盤から好位置でレースを進めると、3区の丹所健選手(3年)が混戦を抜け出し、2位に29秒差を付けてタスキリレー。「勝つなら、逆転で勝つだろうと思っていました」と大志田秀次監督が話すように、アンカーに配された大エースのイェゴン・ヴィンセント選手(3年)での逆転劇を目論んでいましたが、前半を首位で折り返すという、想定を上回るレースを展開しました。

その後も首位をキープすると、アンカーのヴィンセント選手は、2位との差を1分57秒にまで広げて、初出場初優勝のフィニッシュテープを切りました。出雲駅伝は今回が33回目の開催でしたが、第1回大会を除けば、初出場初優勝は史上初の快挙でした。

「初出場初優勝を目標に掲げてきましたが、正直、現実になるとは想像していませんでした。来年、再来年、優勝を目指せればいいなと思っておりましたので。今日は出来過ぎました」(大志田監督)東京国際大駅伝部は2011年創部の若いチームですが、選手たちは、指揮官の期待をも超える頑張りを見せ、創部11年目にして大学駅伝の初タイトルを手にしました。

また、ヴィンセント選手という絶対的エース頼みではなく、1区の山谷昌也選手(3年)が区間3位と好スタートを切り、3区の丹所選手で首位に立つという展開が示す通り、日本人選手も存在感を示したレースになりました。距離が延びる全日本大学駅伝や箱根駅伝でも、東京国際大は台風の目となってきそうです。

2位には青山学院大が入りました。1区近藤幸太郎選手(3年)が区間賞の好スタートを切ったものの、その後は先頭争いから脱落。「一時は6位、7位も覚悟しました」と原晋監督は振り返ります。しかし、4位でタスキを受けたアンカーの横田俊吾選手(3年)が区間3位と好走し、2つ順位を上げてフィニッシュしました。

「課題もありながらも、うれしい準優勝です。今後は全日本、箱根と距離が延びるので、期待が持てると思います」と原監督。昨年度は駅伝で無冠に終わりましたが、今季は随一の分厚い選手層でタイトル奪還を目指します。

3位は東洋大。今年の箱根駅伝でも活躍した宮下隼人選手(4年)、松山和希選手(2年)の二枚看板が欠場し、2区を終えた時点で9位と苦しい滑り出しになりました。しかし、じわりじわりと順位を上げると、5区を任された注目のルーキー石田洸介選手が区間賞の走りで2位に浮上。アンカーの柏優吾選手(3年)は順位を落としながらも、一度は抜かれた國學院大を抜き返し、3位に食い込みました。

「今回は3位以内が目標でした。夏にしっかりトレーニングをしてきて、準備をすれば、自分たちでもできるんだという自信になったんじゃないでしょうか」と酒井俊幸監督。苦戦予想を覆し、次につながるレースを見せました。

優勝候補筆頭だった駒澤大は、三本柱の一人、鈴木芽吹選手(2年)が、9月はじめに右脚大腿骨を疲労骨折し欠場したのが響き、後手に回る展開に。最終区にエース田澤廉選手(3年)を配しましたが、トップと2分22秒差の8位でタスキを受けると、5位に押し上げるのが精一杯でした。

その他、10位までを箱根のシード校が占め、改めて関東勢の強さを示した大会になりました。また、東洋大5区の石田選手や4区区間賞を獲得した早大の石塚陽士選手ら、若い力の躍動も目立った大会でした。

東京国際大の初優勝で幕を開けた大学駅伝シーズンは、11月の全日本大学駅伝、そして来年の箱根駅伝へと続きます。

写真:日刊スポーツ/アフロ