22歳の若き司令塔・河村勇輝172cmで得点も量産するプレーに進化 癒やしは“和製カリー”?
7月28日には、NBAでプレーする渡邊雄太選手も合流し、W杯本番に向けさらなる活気を帯びている日本代表。W杯の最終ロスター「12人」に向けた“サバイバルレース”がいよいよ佳境を迎えます。
し烈な代表枠争いが繰り広げられている日本代表を取材してきたのは、自身も幼い頃から大学までバスケットボールを続けてきた辻岡義堂アナウンサーです。今回は、代表選手の中で特に注目している若き司令塔・河村勇輝選手を紹介します。
■本当に22歳!?日本代表を“精密に”コントロールする司令塔
日本テレビアナウンサーの辻岡義堂です。日本代表合宿や試合で選手の取材を続けていると、W杯本番が近づくにつれ、洗練されていく選手たちの表情に神々しさを感じます。
その中でも、特に異彩を放つのはフレッシュでポーカーフェースの22歳、河村勇輝選手です。
河村選手のポジションはポイントガード(以下、PG)。“コート上の監督”とも言われ、ボールを前線に運び、試合全体のリズムをコントロールする役割を担います。まさに、年齢や経験がものをいうポジションですが、河村選手は22歳にして見事に日本代表のPGを務め上げています。
河村選手に自身の“PG論”を聞いてみると、味方が次のプレーにつなげやすい位置にパスを送るのはもちろん、チームメート全員のその日のコンディションを把握。その上で、今日はどのメンバーが効果的に相手の弱点を突けるのか、そのために有効なフォーメーションは何なのか、などと言ったことを瞬時に判断している、とのことでした。
私も、“自称”神奈川県藤沢市のジェイソン・キッド(NBAを代表する司令塔)として、小学校・中学校・高校・大学とバスケットボールに汗を流し、PGに青春を捧げて参りましたが、たった一度だけでも河村選手の瞳でコートを眺めてみたいものです。
■河村選手の癒やしは同年代のチームメートの“和製カリー”
共に2001年生まれの22歳。ただ、富永選手は早生まれのため、学年では1つ先輩になります。それでも誕生日が2月と5月で3か月しか変わらないということで、お互いに「トミー」、「ユウキ」とフランクに呼び合う間柄です。
代表合宿の取材の際には、2人が楽しそうにイチャイチャしている姿を何度も目撃しています。富永選手と話している河村選手を見ていると、ほぼ全員が年上の代表合宿で、同年代の富永選手との会話はちょっとした癒やしの時間なんだろうなということがひしひしと伝わってきました。
食事にもよく行くそうですが、富永選手はまだ大学生(アメリカ・ネブラスカ大学)のため、食事代を支払うのは、1つ学年が下ですが、すでにプロとしてプレーする河村選手(横浜ビー・コルセアーズ所属)とのことです。
こうした関係性に、河村選手が「トミーにはNBAに行ってもらって、出世払いしてもらいます!」と、はにかみながら話す姿はとてもうれしそうでした。
■まさに鬼に金棒 司令塔なのに得点を量産
トム・ホーバスHCの下で、河村選手は持ち前のスピードやアシストに加えて、3ポイントシュートを中心とした得点力を磨き続けています。
これまでは、PGとして周りを生かし「その日のスターを作り出す」という意識が強かったそうですが、ここ最近は「場合によっては自分が得点を重ねてスターになる」という自覚も、選択肢の1つになってきたと教えてくれました。
河村選手は自国・日本で開催されるW杯に並々ならぬ思いを持っています。172cmという身長は、バスケットボールの世界では決して有利とは言えません。
それでもスピードにアシスト、進化し続ける得点力、そして若さで、日本バスケを下から突き上げていきたいと力強く話します。自分のプレーを見て、子どもたちがバスケを始めるきっかけになればと願う河村選手の眼差しは、いつも勇ましく輝いています。
【今後の日本代表スケジュール】
8月15日(火) 強化試合 アンゴラ戦
8月17日(木) 強化試合 フランス戦
8月19日(土) 強化試合 スロベニア戦
8月25日(金) W杯開幕戦 ドイツ戦
8月27日(日) W杯 フィンランド戦
8月29日(火) W杯 オーストラリア戦