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【箱根駅伝】青山学院大・横田俊吾とエース岸本大紀の絆 「いつこんな差ついちゃったんだろうって…」中学時代からのライバルとつなぐタスキ

2022年12月29日 10:01
【箱根駅伝】青山学院大・横田俊吾とエース岸本大紀の絆 「いつこんな差ついちゃったんだろうって…」中学時代からのライバルとつなぐタスキ
青山学院大学・横田俊吾選手(写真左:SportsPressJP/アフロ)、岸本大紀選手(写真右:日刊スポーツ/アフロ)
箱根駅伝91回大会からの8年間で6度の総合優勝を果たし、強豪校として名高い青山学院大学。前回大会の98回大会で王者に返り咲いたのも記憶に新しいですが、その輝かしい成績を受け止められていない選手がいました。

「録画はしてあるんですけど、見たくないっすね」

そう語るのは横田俊吾選手。現在4年生とラストイヤーを迎えたものの、いまだ箱根路を走った経験はありません。

そんな横田選手は中学時代、青山学院大学の同期でエースの岸本大紀選手とともに、新潟県でトップを争う選手でした。

■トップ争いをした中学時代「この大学のエースに」

全日本中学校通信陸上競技大会の新潟県大会。3000メートルの決勝で、2人はし烈な首位争いを繰り広げました。

最後のストレートで横田選手がスパートをかけて岸本選手を抜き、わずか100分の1秒差で横田選手が勝利。「(中学時代は)6戦3勝3敗、半々ぐらいですかね」と振り返る岸本選手。お互いにしのぎを削る存在でした。

高校は横田選手が福島県の名門・学法石川高校へ、岸本選手が地元新潟県の三条高校へ進学。どちらもトップレベルの環境に身を置きました。

そして2019年、2人は青山学院大学で再会を果たします。

しかし横田選手を待ち受けていたのは、厳しい現実でした。

■メンバー入りも遠い箱根路…ライバルはエースに成長

1年生のとき、先に箱根デビューを飾ったのは岸本選手。岸本選手はエース区間の2区を任されただけでなく、順位をトップに押し上げ、1年生の2区日本選手歴代最高記録をたたき出しました。

3年生で出場した前回大会では7区区間賞も獲得。岸本選手は、すっかりエースとなっていました。

そんな岸本選手を横目に、後れを取っていた横田選手。1年生のとき、箱根駅伝では岸本選手の給水係に甘んじ、3年生でようやくエントリーメンバーに選ばれましたが出場できず。この3年間、箱根路を踏むことは1度もありませんでした。

横田「本当に悔しかったです。中学校の時、競い合っていたんで、いつこんな差ついちゃったんだろうなって。自分を責める時がありました」

3年生までに走った駅伝は、岸本選手が不在だった出雲駅伝の1回きり。だからこそ岸本選手は横田選手に対し、「本当に箱根走ってほしいなというのが一番で。一緒にタスキをつなげたらなというのは思います」と語ります。

■副キャプテン就任が変えた意識 最初で最後の箱根路へ

最終学年の今年、横田選手は副キャプテンに就任しました。

横田「先頭を引っ張る機会で自分からいくようになったというか、そういったところは本当昨年と変わったんじゃないかなと。あいつなら走れるだろうって思わせることがとても大事だと思うので。(出場できるかできないかの)ボーダーなままじゃ面白くないので、突き抜けたいなって思います」

副キャプテンに就任したことで意識が変わったという横田選手は、11月の全日本大学駅伝で4区に出場。11位でタスキを受けますが、順位を6つ上げ、チームを5位に押し上げる快走を見せます。そして中継所で横田選手を待っていたのは、岸本選手でした。

岸本「(タスキを)渡される前に俊吾の姿が大きく見えてきて、やっぱり本当にこの4年間一緒に頑張ってきて良かったなというか。タスキリレーして涙が出そうになったくらい本当にうれしかったです」

このタスキリレーは、横田選手の初の箱根出場をぐっと近づけるものになりました。

12月10日、エントリーメンバー16人の中には横田選手、岸本選手2人の名前がありました。

横田選手は「区間賞をどっちも取って優勝が一番いいんですけどね。それを目指して頑張りたいと思いますし、僕自身、駅伝、今3つ走って一つも勝てていないので、そろそろ勝ちたいなと思います」と話します。

最初で最後の箱根駅伝を、中学からのライバルであり、友である岸本選手と走れるのか。2人がつなぐタスキに注目です。