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【密着取材】ラグビー松田力也 大ケガからの復帰を発奮させたW杯への思い

2022年12月16日 17:40
【密着取材】ラグビー松田力也 大ケガからの復帰を発奮させたW杯への思い
前十字じん帯断裂から復帰したラグビー松田力也選手(写真:西村尚己/アフロスポーツ、撮影2022年4月)
2022年5月、ラグビー・リーグワン最終節の試合中に、左膝の前十字じん帯を断裂した松田力也選手(埼玉ワイルドナイツ)。

復帰まではおよそ1年かかる大ケガと言われていましたが、わずか7か月で実戦復帰しました。驚異の回復を見せたワケと復活までの道のりに密着しました。

■初めての手術・・・太ももは"58センチ"から"48センチ"に

日本代表として活躍した松田選手の最大の武器は、正確なキック。2022シーズンは、そのキックをいかして日本人最多の168得点を挙げる活躍を見せていましたが、最終節の5月7日、試合中に左膝の前十字じん帯を断裂してしまいました。

松田選手はこのときの気持ちについて「初めての大けがというか、手術をするかもしれない大けがだったので、すごくショックも大きかった」と振り返りました。

ケガから約2週間経った5月23日、人生初めての手術を行った松田選手。手術は無事成功し「今はまだ痛いですけど、前向きにやるしかないと思いますし、次のリハビリにいけるかなと思います」とすでに次を見据えていました。

手術から1か月後の6月20日には、左膝にテーピングを巻きながらバイクをこぐ松田選手の姿がありました。

58センチあった左足の太ももは、手術直後48センチまで落ちてしまい、筋肉を取り戻すため懸命にトレーニングをしていました。

その中で松田選手が重点的に鍛えていたのが内側広筋と呼ばれる、太ももの内側の筋肉です。

松田選手は「やっぱりキックの軸足なので、安定したキックが蹴れるように。本当にしっかり治して、ケガする前よりもいい状態で強くなって、戻った時にはケガした時よりもいいパフォーマンスを出せるように」と、キックの際に負荷がかかる太もも内側の筋肉を鍛えることで、安定感やパワーを向上させる狙いがあることを教えてくれました。

■W杯は悔しい大会 パワーアップした姿であの舞台へ

懸命なリハビリで"より強い松田力也"に。その気持ちのウラにはある大会への強い思いがありました。

松田「2019年のW杯では1試合も先発出場が無くて、出られない試合もあった中で、すごく悔しい思いも残りました。それも含めて23年のW杯に向けてもっとやらないといけないと思いました。本当にこのケガがあったからW杯で良い活躍ができたと言ってもらえるように、やるしかないと思っています」

2023年9月に開幕するラグビーW杯。日本中が熱狂したあの舞台に再び立つために、週5回のトレーニングを続けた松田選手。

ケガから3か月経った8月11日、ついにボールを蹴れるまでに回復しました。

松田選手は「軸足が踏ん張れているのでいいキックが蹴れる。当てる感じもパワー的にも復帰前よりいいんじゃないかって、効果実感中です」とリハビリの成果を感じていました。

そしてケガから7か月後の12月3日、実戦復帰の日を迎えました。

コンバージョンキックのチャンスでは、ゴールの真ん中を射抜く見事なキックを披露。復帰戦で存在感を示しました。

松田選手は「リーグは2連覇目指して、自分自身勝利に貢献できるプレーを続けたいなと思っています。その先にW杯があると思うので、2019年の悔しさやケガしたときの悔しさも含めて、さらに大きくなってその舞台に戻りたいなと思います」と目標を胸に歩き出しました。