たった一人の相撲部員 目指すは全国大会1勝 山形県内高校の相撲部も一つだけ
新横綱・豊昇龍の誕生など相撲界はいま、盛り上がりを見せています。一方、山形県内では相撲の競技人口は減っていて、高校の相撲部は鶴岡市の加茂水産高校が唯一活動を続けています。いま、部員はただ1人。相撲に憧れて入部し、日々稽古を重ねる2年生の思いを取材しました。
鶴岡市の県立加茂水産高校。県内で唯一の高校相撲部があります。その歴史は50年以上。
県内の高校ではかつて、庄内と最上を中心に相撲部がありましたが、競技人口の減少とともに廃部が進み、いまは、加茂水産高校のみが活動を続けています。
国体やインターハイなどの常連だった加茂水産高相撲部ですが、ここ数年は部員が減少。大会に出ても勝つことが難しい状況が続いています。
3年生が卒業に伴い引退したため、いまの部員は2年生の板垣成さん(17)、ただ一人です。
板垣成さん「相撲部楽しいですね。きついところもあるけど、やっているうちにいろんなメニューができて、めちゃくちゃ楽しい」
新潟県村上市に住む板垣さん。毎日列車を使って片道1時間かけて学校に通っています。小・中学校時代は、バスケに熱中。相撲は高校に入ってから始めました。
板垣成さん「小さい時から大相撲とか見てて、地元で奉納相撲があって相撲をしていたので相撲部やってみたくて入った」
(好きな力士は?)「翠富士。小さくても大きい相手に立ち向かっていくところがかっこいい」
身長は168センチ。高校入学当初の体重は52キロでした。筋肉トレーニングと食事の量を増やし、今は10キロ以上体重が増加、65キロになりました!
板垣成さん「全然食っても太らなかったのできつかった。今は入学前の倍以上の量は食べてる」
そんな板垣さんと一緒に稽古を重ねてきたのが先輩で3年生の田村蒼汰さん(18)です。埼玉の大学に進学し相撲を続けるといいます。
部活を引退した今でも板垣さんと2人で練習をしています。
田村蒼汰さん「めっちゃ気使ってたよね」
板垣成さん「先輩なんで」
田村蒼汰さん「俺に緊張したことないでしょ(笑)」「元々1人だったので人と相撲を取るのが久しぶりだった。新鮮でうれしかった」
「板垣さんは下半身に安定感あって、ちょっと組んでみても相手の動かしとか分かってるような感じ。素質ありまくりだった」
板垣さんは県外の選手と比べても体が小さく細身です。
顧問・泉山史教諭「板垣は小さいので大きくなってもらった方が相撲は有利なので、少しでも大きくなってもらいたい」
体を大きくして強くなるためには食事も大切なポイントです。
何合炊いた?「4合」
「4合くらい2人だと食える」
「帰って晩御飯も食うんですよ」
「いただきます」
板垣さんの体を大きくしようとこの日は顧問の泉山先生が特製のカレーを作りました。
板垣成さん(元々この量食べられた?)「全然食べられなかった。家でご飯炊くとき家族4人で2合くらい」
2合の大盛りカレーを15分ほどで平らげました。体重を増やすため、食事は一日4食に。少しでも多く食べる努力を続けています。
加茂水産高校相撲部は去年10月、佐賀県で行われた国民スポーツ大会に県代表として出場しました。
人数が足りなかったため、個人で活動する県内の他校の生徒に協力を仰いで合同チームを作り、なんとか団体戦出場を果たしました。しかし、結果は1勝もできず予選落ちでした。
板垣さん「自分より大きい相手で、普段は1人の基礎練習しかできないので、悔しい」
顧問・泉山史教諭「相撲部が多かった時は、10人くらいいた。どこの学校もそうだけど他県も含めて部員が少なくなってきている」
4月から3年生になる板垣さん。多くの後輩が入ってほしいと願っています。
板垣成さん「1人より何人もいた方が練習も楽しいし、大会に出ても団体戦とかいろんなところで活躍できるので、たくさん入ってきてくれるといい」
やっぱり後輩はほしい?「ほしいですね」「残り1年なので大会でいい成績残せるように練習頑張っていきたい」
板垣さんの目標は全国大会で勝利を挙げること。目標の実現へ日々稽古を重ねています。