尾上右近「自分一人の夢ではない」 音羽屋一門ゆかりの演目を継承 自分の色を出す
現在3年ぶりに『團菊祭』と銘打ち上演されている歌舞伎座『五月大歌舞伎』(27日千穐楽)。右近さんは第三部『弁天娘女男白浪』で弁天小僧菊之助を勤めています。
今回『團菊祭』への出演を聞いたときの心境について右近さんは「“やりますか” っていう感じでした。うれしいという気持ちと自分はそのとき、日頃支えてくれている、応援してくれている人たちの顔、日本アカデミー賞の時もそうでしたけども、まわりの人たちの思いっていうものが顔として浮かんで、この人たちのためにっていう “自分一人の夢ではない” という自覚を強く味わう瞬間でした」と語りました。
『團菊祭』とは、1936年から始まった、九世市川團十郎さん(成田屋)と五世尾上菊五郎さん(音羽屋)の功績を顕彰する公演。右近さんも名門・音羽屋の一門に名を連ねる一員。大先輩をたたえる公演でのプレッシャーについて「見に行かないとまずいんじゃないかというプレッシャーを逆にお客様に与えたいと思います」と語り「歌舞伎に必要とされているということをもっとも自覚させてくれる演目ですね」と心境を明かしました。
この演目は2019年、自主公演『研の會』で勤めたことはありますが、歌舞伎座の大舞台で演じるのは初めて。どんな弁天小僧像を作り上げるのか聞くと、「教えと伝統というものを自分自身に受けた上で見たことのないっていう弁天小僧像というものをやらせていただきたいです」と話しました。