ガソリンはどうなる? わかる!トリガー条項
ガソリン税の一部を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除について鈴木財務大臣は慎重な姿勢を示しました。なぜ、凍結を解除することに慎重なのでしょうか。
■《ギモン1》トリガー条項ってなに…?
ガソリンにかかる税金には暫定的に上乗せされているものがあります。
「トリガー条項」は、ガソリン価格が3か月連続でリッター160円を超えた場合、この上乗せされている分の課税を停止し、ガソリン価格を引き下げる措置ですが、現在は、東日本大震災の復興財源を確保するため、凍結されています。
ガソリン価格が高騰が続いているため、政府は現在、価格を抑えるための補助金を出し続けています。当初、「年末まで」とされていたこの補助金は、先月末に取りまとめられた経済対策で、「来年4月末まで継続する」こととなりました。
この「ガソリン補助金」をめぐっては、政府関係者からも「ばらまき」との指摘や「永遠と続けるわけにはいかないが、全く出口が決まっていない」などの不満が出ています。
■《ギモン2》なぜ今浮上?「トリガー条項」の凍結解除
そんな中、おととい国民民主党の玉木代表が国会で「トリガー条項」の凍結解除を迫り、岸田総理も「検討したい」と応じました。
来年4月以降のガソリン補助金の出口戦略をめぐり、「トリガー条項」の凍結解除が検討されることになります。
玉木代表は、岸田総理が凍結解除を決断すれば「補正予算案に賛成してもよい」と述べました。
岸田総理も「検討は意義があることだ」と応じていて、検討の引き換えに国民民主党の協力に期待している向きもあります。
トリガー条項の凍結解除の検討は政治的な駆け引きの材料になっているとの冷ややかな見方もあります。
■《ギモン3》「トリガー条項」凍結解除に永田町から懸念の声…「税収が減る」
そもそも、ガソリン税には、1リットルあたり、およそ25円が、「特例税率」として上乗せされていますが、トリガー条項の凍結を解除した場合、その分、「減税」となります。
減税によりガソリン価格が抑えられることとなりますが、ある政府関係者は、「トリガー条項の凍結を解除すると、本来より、入ってくる税収が減る。足りない分、予算を捻出するために、余計に赤字国債を発行しないと いけないかもしれない」と指摘しています。
■閣僚も慎重な姿勢
24日朝、鈴木財務大臣も、「脱炭素に向けた国際的な潮流、さらに財務大臣としての立場か ら言えば、国・地方合計で1.5 兆円もの巨額の財源が必要となるということなど様々な課題が ある」と述べ、慎重な姿勢を示しました。
またある現役閣僚の1人も、「去年もあれだけ議論したのに、今更言い出すのは意味がわからない」と困惑していました。
■トリガー条項の問題点に指摘相次ぐ
他にも、政府関係者から、「トリガー条項」の凍結解除に対し、懸念の声があがっています。
トリガー条項は、凍結解除されるとその日から価格が変わるため政府関係者からは「ガソリン価格がリッター160円になるといきなり25円さがるなど変動が激しいためにガソリンスタンドが混乱するなど制度的に問題がある」との指摘が出ています。また、「地方税の税収が減るがそれを国税で補填するのは変」「結局、所得減税も給付金の方がよかったと言われているが、同じように補助金でできることをわざわざ制度変更するのは意味がない」など「トリガー条項」の凍結を解除することで生まれる混乱を不安視する声が相次いでいます。
鈴木大臣は「与党と国民民主党の間ではこうした課題も含めて議論されると考えており、財務省としては協議を踏まえつつ、適切に対応していく」としています。