鍵は米国にあり!日本の株式市場と為替展望
2015年、約15年ぶりに2万円の大台を回復した日経平均株価。しかし、夏場以降は2万円の大台を割り込み、伸び悩んだ。大きな要因は中国経済の減速、そしてアメリカだ。
アメリカの中央銀行にあたるFRB(=連邦準備制度理事会)は、2008年のリーマンショック後、景気が低迷したことを受けて金利を“ほぼゼロ”にする異例の政策をとっていた。
ところが2015年5月、イエレン議長が利上げの可能性について発言。それ以降、市場関係者の最大の関心事はアメリカがいつ利上げするかだった。
金利を上げるとお金が借りにくくなるので、景気が過熱するのを抑える効果があるためだ。しかし、中国経済の減速などで、FRBはなかなか「利上げ」に踏み切れず、世界に不透明感が広がった。日本の株式市場も、その影響を受けた格好だ。
結局、FRBが利上げに踏み切ったのは2015年12月だった。政策金利を0.25%引き上げる9年ぶりの「利上げ」をようやく決めたのだ。
「利上げ」は日本の株価を押し上げる要因になるのか?基本的に「利上げ」は、アメリカの景気が回復したことが背景にあるため、日本の株価にも良い影響を与えると言われる。
今後もさらなる「利上げ」が想定されているが、アメリカの景気に影を落とす不安要素もある。世界的な原油価格の下落だ。アメリカはエネルギー関連の企業が多いため、今後も原油安が長引けばアメリカの景気が失速しかねない。そうなると、FRBはさらなる「利上げ」に踏み切れないとみられている。
また、景気が失速するとアメリカの株価は値下がりし、日本の株式市場も値下がりするという悪循環に陥る可能性がある。
一方、2015年、外国為替市場のドル円相場はおおむね120円台前半で推移、「円安ドル高」の状態が続いた。
今後、日米の金融政策の行方次第では、円安ドル高がさらに進む可能性もある。なぜならば、日銀の金融緩和が続く一方で、FRBが「利上げ」すれば日米の金利差が広がり、金利が上がったドルを買って、円を売る動きが強まるとみられるからだ。
ただ、行き過ぎたドル高は、アメリカの輸出企業の業績を悪化させ、アメリカの景気を冷やしかねない。その影響は日本に及ぶ可能性もある。
2016年は、アメリカの金利の動向に注目が集まることになる。