地震の風評被害で打撃の北海道 東急が支援
知っておきたいデータや情報をひもとく「input」。今回のテーマは「東急が北海道を支援」。藤田大介キャスターが解説する。聞き手は、雑誌「Discover Japan」の高橋俊宏編集長。
藤田キャスター:名前は“THE ROYAL EXPRESS”といいますが、高橋さんご存じですか。
高橋編集長:私も知っておりまして、かつて雑誌でも紹介をさせていただいたことがあります。
藤田キャスター:すごく魅力的な列車なんですが、これ古い車両を改造して、このような形に仕立て上げたんですね。この列車は、東京と神奈川に路線を持つ東急がおととし、つくりあげた観光列車なのですが、今、静岡県伊豆半島のクルーズトレインとして人気なんです。
本来、列車は自分の会社の線路を走りますよね。実はこの列車、来年8月北海道にJR貨物が引っ張っていって遠征をして、そして他社であるJR北海道の線路を走る予定なんです。
高橋編集長:それは革新的ですね。
藤田キャスター:そうなんです。これは、極めて異例なことなんです。
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“THE ROYAL EXPRESS”は8両編成・定員約100人の国内最大級の人気観光列車。木のぬくもりを感じる空間で客車・食堂車のほかコンサートができるピアノが2台常設。これまで約9000人を乗せてきました。
JR北海道の線路を走ることになったきっかけは去年、発生した胆振東部地震です。風評被害で観光が大打撃をうけた北海道を応援するため、そして赤字が続き、廃線や駅の閉鎖が続くJR北海道を助けるためでもあります。
東急 交通インフラ事業部 松田高広統括部長「素晴らしい大地と、素晴らしい人々がいる中で、仕事が一緒にできるっていうのをものすごい誇りとワクワク感であふれています」
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藤田キャスター:具体的にどのように支援をしていくのかということなんですが、まず収入面は、運転士など鉄道輸送に関する業務はJR北海道が行います。一方、東急は客車内でのサービスなどを担当します。ですからそれぞれが収入を得るという格好になります。
鉄道を引っ張っていくのはJR北海道なので、運賃はどうぞというかたちです。ホテルとかその部分、サービスは全て東急さんがやるということです。1日数人しか乗らない路線もありますので、これ100人ぐらいの方がそこを通過するわけですよ。
高橋編集長:これはすごいですね。
藤田キャスター:運賃収入だけでもJR北海道の支援にもなります。さらに、北海道支援で最大のポイントがこちらです。(※モニターに写真が映る)
こちら、ホームにテーブルが置かれていて食事が並んでいます。実はこれ、降りたお客さんがホームで地元の皆さんとテーブルを囲んで交流を楽しんでもらいたいという思いがあるようなんです。
高橋編集長:北海道の地のものを、その場で食べられるというのは素晴らしいですね。
藤田キャスター:列車に乗れない地元の方も一緒に楽しめるような空間。さらにこれは寝台列車ではないのでベッドがないんです。ですから沿線の宿に泊まって、そこにお金を落としてもらう。
そして地元の方と触れ合って、北海道のファンをさらに増やすこちらの列車は1か月しか走りませんが、また北海道に戻ってきたいというふうになればと。
高橋編集長:周遊するんですか。
藤田キャスター:そうです。釧路湿原や富良野など、きれいなところを走るそうです。
高橋編集長:素晴らしいですね。乗ってみたいですね。
藤田キャスター:でも、どのように走るかですが、少し課題もあるんです。電車というと、電気を供給する架線というのが上に普通ありますよね。しかし北海道はそういうのがほとんどの路線でありません。ディーゼル車、ガソリンなどで走るものなので、電気を供給する設備がないんです。
ですので“THE ROYAL EXPRESS”は、北海道を現状のところ走れません。ただし東急は、自分で発電機を搭載した“電源車”を北海道を走るためだけに、新たに購入して走れるようにしたんです。
高橋編集長:そもそも北海道の電車が赤字というなかで、地震の風評被害で打撃うけた北海道を応援しようというのは、素晴らしいことですね。JR九州が観光列車を走らせて人気ですけど、北海道のポテンシャルはたくさんありますよね。
【the SOCIAL inputより】