労働力が足りない…「外国人に選んでもらえる国に」ついに政府、経済界が取り組み始動

米国バイデン大統領に「なぜ日本は問題を抱えているのか。彼らが外国人嫌いだからだ」と指摘された日本。10年前、民間有識者会議「選択する未来委員会」で、人口減少対策として「外国人労働力の活用拡大も選択肢の1つ」と提起された際も、「官邸は純血主義者が多いから、移民議論もつぶされた」(自民党有力議員)との声も出て、報告書から「移民」の文字は消えた。
しかし、あれから10年。ますます人手不足が深刻化する中、ようやく政府も経済界も外国人労働者を受け入れる体制整備を本格化するのか?
(日本テレビ解説委員・安藤佐和子)
熊本市菊陽町にある「原水駅」。小さな無人駅だ。その駅が、平日は毎朝、通勤客で溢(あふ)れかえるという。理由はここが台湾の大手半導体メーカー「TSMC」の子会社「JASM」の最寄り駅だからだ。
この駅からバスで10分ほどのところに、大きな半導体関連の工場が集まる「セミコンテクノパーク」がある。もともとソニーの半導体工場など多くの半導体工場があったとはいえ、TSMCの進出が決まって以降、さらに半導体関連の工場建設、設備投資が相次いでいる。
TSMC進出による熊本県への経済波及効果は、10年間で6.9兆円規模にのぼるという試算もある。経済成長への期待の一方で、急速な変化に町や市にとまどいもある。
■「子どもが心配」
菊陽町周辺では、通勤や取引で町を走る車が増えた。毎朝ものすごい渋滞が発生するという。近隣に住む子持ちの男性に話を聞くと「通学路が心配だ」という。「一車線分程度しかない幅の道に車が行き交い、車が歩道にはみ出してくる」「近所の人たちで話し合っていて、時間帯によって一方通行にしてくれないか警察に相談しようということになっているが、なかなか(ことを進めるのは)大変だと聞いている」。一方で、駅周辺の道路が整備されてメリットもあるといい、複雑な表情を見せた。