長期金利1.065%まで上昇 約12年半ぶり
国内債券市場で29日午前、長期金利がおよそ12年半ぶりに1.065%まで上昇しました。
こうした中、日本銀行の安達審議委員は講演で、金融政策の拙速な正常化は避け、段階的に行うべきとの考えを示しました。
29日の債券市場で長期金利の指標となる10年物国債の利回りが1.065%まで上昇し、日銀が「異次元緩和」を行う前の2011年12月以来、およそ12年半ぶりの高水準となりました。
前日のニューヨーク市場でアメリカの長期金利が上昇したことから、これに連動しやすい日本の長期金利も上昇した形です。また、日銀が近い将来に追加の利上げや国債の買い入れ減額など、さらなる金融政策の正常化に動くのではないかとの思惑も長期金利の押し上げに働いています。
一方、外国為替市場では、アメリカの長期金利が上昇したことを受けて日米の金利差を意識した円売り・ドル買いが進み、円相場は1ドル=157円台前半まで下落しています。
こうした中、日銀の安達審議委員が熊本県で講演し、追加利上げや国債の買い入れ減額は、段階的に行うべきだとの考えを示しました。「金融政策が前のめりになりすぎることで、折角のわが国経済が回復する機運に水を差すといった『拙速な利上げ』は絶対に避けなければならない」と指摘しています。
国債の買い入れ減額についても、「急激なペースで行われると、長期金利等に不連続な変動をもたらし、最終的には経済へ悪影響を及ぼしてしまう恐れがある」との見方を示しました。
安達氏は講演の冒頭で最近の円安に言及し、「短期的な為替変動への対応を金融政策で行うと『物価の安定』に影響が出てしまう」との見方を示しました。ただ、過度な円安が長期化し、物価見通しが日銀の掲げる2%安定目標から上振れるなど影響が出てきた場合には、「金融政策による対応も選択肢の一つになる」としています。
安達氏は、大規模な金融緩和に積極的な「リフレ派」とされています。