「究極の再利用ですね」ビール醸造所とウイスキー蒸留所のコラボ 福島
先月、酒造りのメーカーがコラボしたある新商品が発表されました。ビール醸造所とウイスキー蒸留所のコラボなんですが、使われたのはウイスキーの熟成用の「樽」。
先月、郡山市のレストランで行われたのはビールとウイスキーの新作商品の発表会。そこでお披露目されたのは、田村市都路町の「ホップジャパン」のクラフトビールと郡山市の笹の川酒造のウイスキーです。
■ホップジャパン 本間誠 社長
「(笹の川酒造で)使い終わった空樽をお借りしてそこに度数の高いビールを入れて半年ぐらい貯蔵して・・・」
コラボ商品のビールは、笹の川酒造でウイスキーの熟成に使った後の空樽にホップジャパンのビール入れ半年間熟成させた「バレルエイジドビール」と呼ばれるもの。ビールを試飲した人は?■ビール飲んだ人
「ちょっとほのかに樽の芳ばしい香りがする、おいしい、ビールじゃないですねこれはもう、普通のビールじゃないんで」
そしてもうひとつの商品であるウイスキーはホップジャパンでビールを取り出したあとの空樽を再び笹の川酒造へ戻し、ウイスキーを入れ1年ほど熟成させたもの。ビール風味の特別なウイスキーです。その味わいは?
■ウイスキーを飲んだ2人
男性「香りがいつも飲んでいるウイスキーとは違う。モルト臭、ビール臭?」女性「ビール臭はあまりしないかも、香りが甘い華やかな香りなのでとてもおいしい」
この複雑な風味をつくるもとになる樽は郡山市の笹の川酒造にあります。笹の川酒造には、東北で最も古いウイスキーの蒸留所があり、ここで作られるウイスキーは国際的なウイスキー味わいを競うコンテストで部門最高賞を受賞するなど、世界に認められています。ウイスキーの味の決め手になるのが熟成に使う樽。
■笹の川酒造 代表取締役 山口哲蔵社長
「メインはアメリカのバーボンの空樽を輸入して使っている。新しい樽は味が粗い、一回使ったぐらいの穏やかな樽のほうが熟成に向いている。」
バーボンの空樽に、自社で作ったウイスキーのもとになる蒸溜液を入れ3年以上熟成。そうするとことでバーボン樽に沁み込んでいた味や香りがウイスキーに移ります。
Q「ウイスキーを一度取り出した樽というのは一回で廃棄するわけではない?」■笹の川酒造 代表取締役 山口哲蔵社長
「1回では廃棄しません。」「樽はだいたい3回ぐらい使えるといいます。樽の寿命は60年から80年といわれている」
樽がもともと持つ個性に加え、熟成させるお酒の種類を変えて複雑な風味を狙った今回のコラボ企画。
■笹の川酒造 代表取締役 山口哲蔵社長
「(樽が)行ったり来たりの企画なんです。」
■ホップジャパン 本間誠 社長
「究極の再利用ですね」
現在、コラボの次回作が進行中。福島の新しい酒造りに樽が大きな可能性を秘めていました。