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中国・武漢“コロナ警鐘の医師”死去4年…相次ぐ追悼の声 感染症をめぐり政府は法改正も

2024年2月7日 15:51
中国・武漢“コロナ警鐘の医師”死去4年…相次ぐ追悼の声 感染症をめぐり政府は法改正も
新型コロナウイルスにいち早く警鐘を鳴らした李文亮医師(中国SNSより)

新型コロナウイルスの流行初期に、中国でSNSを通じていち早く警鐘を鳴らし、当局から訓戒処分を受けた医師が亡くなってから、7日で4年です。中国政府は感染症をめぐり、通報を奨励するなどの法律改正に動き始めましたが、政府による情報操作をなくすことができるかは不透明です。

  ◇◇◇

李文亮医師は2019年末、中国のSNSで未知のウイルスへの注意を呼びかけ、その後、当局から「デマを流した」などとして訓戒処分されました。その後、自らも新型コロナに感染し、2020年の2月7日に34歳で亡くなりました。

李医師が亡くなってから7日で4年が経過しますが、彼の残したSNSにはこの日にかけ、哀悼や感謝をつづるメッセージの投稿が相次ぎました。書き込まれたメッセージには――

『真実を述べ、彼は戒められた。 小説でもこのような不条理を描くことは難しい。彼を忘れてはいけない』

『彼はみんなのために、温かい火で照らしてくれた。この世界にもたらしたあなたの温かさを今も忘れない』

『李医師は社会の悲劇であり、歴史の悲劇だ。その後の中国では李医師のような勇気ある人が続いているよ』

李医師の存在が、自由にモノが言えない市民にとって、今でも心の拠り所となっていることが見てとれます。

一方で、当時の政府の感染対策を疑問視する投稿も目立ちます。

『あの時、政府が耳を傾ければ、 李医師の命どころか、多くの国民の命が救えたはずだ』

中国政府は新型コロナの感染拡大を防げなかった教訓などから、2023年10月、原因が分からない感染症の疑いがあれば、素早く関係機関に通報するよう奨励するなどの法改正に乗り出しました。

改正案では「感染症の発生に気づいた場合は、一般市民も含め、報告の奨励や免責制度を設ける」とするほか、「感染拡大の際、担当部門は感染例や死者数などの情報を正確に公表する」などと強調しています。

一方で、中国で22年から23年にかけて新型コロナの感染が拡大した際、政府が公表した死者数が実態とかけ離れていたと疑問視する声も多く、政府による情報操作が続くことを懸念する見方も根強く残っています。