“台湾有事の際は軍事的関与”バイデン大統領の真意は…ワシントン支局長が解説
日本を訪問中のアメリカのバイデン大統領は23日、新たな経済連携となるIPEF、「インド太平洋経済枠組み」の発足を正式に表明しました。中国に対抗して、アメリカが主導する枠組みで、13か国が創設メンバーとなっています。最新情報を、同行しているワシントン支局の矢岡亮一郎支局長に聞きます。
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――IPEFですが、アメリカはとにかく中国抜きのグループを何としても作りたいというのが感じられるのですが、どうしても必要なんですか?
確かに、強引な感じもしますよね。
アメリカは、成長市場のアジアで、中国がRCEPという別の経済連携の枠組みを主導したり、アメリカが抜けた後のTPPに加入申請したりと、とにかくインド太平洋地域で後手に回っているという焦りがあるからなんです。
バイデン政権は今回の日韓訪問の直前、ワシントンに東南アジアの国々の首脳を招いて、IPEFへの参加を直接呼びかけもしました。
ただ、関税交渉はしないということで、東南アジア各国が望むアメリカ市場へのアクセスは難しく、「アメリカに付き合わされている」という不満も出ているようです。
――バイデン大統領、台湾有事の際の軍事的関与を認めました。これはうっかり言ったのか、狙いがあって言ったのか、どっちなのでしょうか?
これはアメリカの歴代政権が、台湾に軍事的に関与するかを明確にしない、あえて曖昧にする「曖昧戦略」をとってきたからこそ、ニュースになっているわけですが、正直、意図的なのかどうか、バイデン大統領本人にしか真意は分かりません。少なくとも大統領の周辺は驚きを持って受け止めています。
ただ、この軍事的関与の発言は、実は今回で3回目なんです。これを失言と言い切れるのか。アメリカメディアは、「歴代政権の曖昧戦略から踏み込んだ内容だ」と意図的だった可能性も指摘しています。
――いろんな見方はあるようですが、台湾をめぐって、今後、アメリカの具体的な動きはあるのでしょうか?
実は去年、アメリカ軍が極秘で、兵士を台湾に長期間派遣して台湾軍の訓練を行っていたことが報じられ、台湾のトップもこれを認めました。
アメリカ議員の台湾との交流も活発化していて、外交関係も強化されています。軍事面・外交面でアメリカの関与が強まる流れにはあります。