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【全文】これは「価値観の戦争」…ゼレンスキー政権キーマンに単独インタビュー「ウクライナは日々、前進している」

2023年7月4日 4:33
【全文】これは「価値観の戦争」…ゼレンスキー政権キーマンに単独インタビュー「ウクライナは日々、前進している」
ポドリャク大統領府顧問と鈴木あづさ支局長(NNNキーウ)

間もなくウクライナ侵攻から500日。反転攻勢、プリゴジン氏の反乱など緊迫した場面が続く中、ゼレンスキー大統領の最側近、ポドリャク大統領府顧問がNNNの単独インタビューに応じました。戦争はいつまで続くのか? キーマンが語った内容を全文で掲載します。(・中・編の中編)

<ポドリャク氏 プロフィール>

ウクライナ大統領府顧問。侵攻直後にゼレンスキー大統領が国民向けて発信した「自撮り動画」では大統領のすぐ隣に映っていた、政権を支える「最側近」。戦況や民間人の被害などについてもSNSを駆使し、内外へ発信を続けている。

■戦いはいつまで続く? 停戦交渉は?

――今後、大規模な反転攻勢は何度もくり返し仕掛けていく必要があると考えるか?

攻勢がどのように行われているかを説明したいと思います。これはすでに始まり、これからロシアの防衛陣地への圧力は増すばかりです。“一度ここで始めて、止めて、その後また始めて、また止める”…ということではないのです。すでに始まっています。ある所で激しさが著しく増し、次に違う方向で激しさが著しく増します。それとともに追加の資源が蓄積され、また常にロシアの後方インフラの破壊が行われます。

もう一度、強調しておきますが、これは単独の作戦ではないのです。これはさまざまな方向で、さまざまな強度の、多数の作戦の開始のことです。したがって、これはすでに始まっており、3つのことが起こるまで続くでしょう。

第1に、ロシアが戦術的に大きく敗北すること。第2に、防衛線を突破すること。第3に、ロシア軍が91年の時の国境線まで急速に撤退することなのです。これを達成するまでウクライナ軍の圧力の増大が続きます。

――このまま反転攻勢を続け、全ての領土を取り戻してからでないと戦争は終わらないと考えるか?

ロシアが(独立時のクリミア半島を含む)1991年の国境線まで撤退しないような戦争の終結は、ありえません。これはもっと広く理解されるべきです。どんな妥協もないのです。(妥協したら)“ロシアは変わらない”ということを意味するからです。逆に、国内の軍事化にさらに力をいれ、ウクライナを含むさまざまな領土を攻撃するでしょう。

ですから我々は圧力をかけ、戦争という観点から圧力を強めます。ロシアの動員された占領軍が徐々に、もしくは速やかに1991年の時の国境線まで撤退させるために、最大限の損失を与え、後方提供を含むロシアの占領インフラを破壊します。これは戦争が終わる唯一の方法です。皆さまにそれを分かってほしいです。妥協はないのです。

――西側諸国の一部では「一度、停戦して外交上の努力によって解決すべきではないか」という意見もあるが?

では、こちらからの質問です。ロシアと何を交渉したいのでしょうか? 何についてテーブルを囲んで交渉すればいいのですか? 民主主義の敗北についてですか? ウクライナの負けについてですか? ロシアが国際法を明らかに破壊する国であり続ける権利を持っているという事実についてですか? リアルタイムで膨大な量の戦争犯罪を行い、それに対して処罰されない国について?  彼らと何を話したいのですか。世界が不安定であるべきだという事実についてですか?

世界の安全保障システム全体を破壊し、ウクライナだけでなくさまざまな地域で紛争を引き起こし、皆さんがよく知っている北朝鮮のような政権を持つために、テロリスト集団に資金を提供している国と一緒にテーブルに座りたいのですか?

外交交渉を提案している人たちは、自分たちの有権者に「武力や武器が支配し、どんな犯罪者でもあなたの家に来て、あなたの子供を殺しても罰せられないような不安定な世界に住むことを提案する」と言う覚悟があるのでしょうか。これが交渉の席で話したいことなのでしょうか。そうでないなら、その動機を説明してください。どうやってロシアを国際法に引き戻すつもりなのでしょうか。

(交渉になったからといって)ロシアは戦争に負けたわけでもなく、犯罪に責任があるわけでもなく、賠償金を支払うわけでもないです。あなたたちは賠償金を払う気がありますか? 他国に破壊されたウクライナの再建を助けるのですか? それなら質問は、なぜあなたが強固な組織として扱われなければならないのか、ということです。

つまり、その価値観を守ることができないなら、公正な戦争に勝つことを許さないなら、死者のために賠償をとることをさせないなら、なぜ人々は民主主義を唯一の近代的な社会関係の形式として尊重しなければならないのでしょうか? これらは明らかなことです。ここに正しい重点を置くべきです。

負けたいなら、ウクライナ抜きでお願いします。なぜなら、ウクライナはこの戦争を公正に終結させるまでいきたいのです。“公正な終結”とは、私たちの主権、領土を回復し、戦争犯罪人の処罰、そして今後、何年にもわたるロシアからの賠償を意味します。日本も、ルールのある安定した世界に住みたいと望んでいると思います。これが最も重要なことです。

――世界の平和と安定を手に入れるために今、何が必要だと考えるか?

世界が安定するのは、ロシアが戦争に負け、国内で大きな変化が起きるときだけです。ロシアに、よりまともなエリートが現れる時です。

そのために2つのことが必要です。まず、これは「価値観の戦争」なので、ウクライナへの強力な支援をかたく維持する必要があります。これは民主主義の世界が成り立っている根本的なものに関する戦争なのです。単に領土をめぐる戦争ではありません。このことを理解し、絶えず話すべきです。これは自由の権利のための戦争なのです。

第2の要素は、「妥協案を話し合うのをやめ、ロシアが現在のような形で残るようなシナリオを探してはならない」ということです。交渉のイニシアチブを探したり、ミンスク合意のようなものを再署名しようなどの話に固執したりしてはならないのです。

なぜなら(その交渉案の話をしたら)我々が負けたという意味になってしまいます。つまり、“民主主義の負け”なのです。戦争が次の段階に進み、ロシアによる恐喝が強まり、ロシアが全般的に優位に立つことを意味します。

第3の要素は「武器」です。くり返しますがこれは何かを手に入れたいかどうかの問題ではないのです。国際世界の安全保障という根本的な問題を解決し、この世界に極めて具体的な国際合意を取り戻すためには武器が必要だという課題なのです。

武器というのは、ウクライナに何か少し与えて、残りを自国のために残すということではないのです。私はいつもこのような質問をします。例えば、「ロシアが負けた場合、あなたたちはヨーロッパで誰と戦うつもりですか? どうして巨大な兵器庫を蓄えているのに、大きな戦争中にそれを使わせることをさせてくれないのですか? 誰と戦うために備えているのですか?」

ロシアが勝って、自国のところにやって来ると予測しているのでしょうか? それならば今、我々に武器を与えれば、ロシアがやって来ることはないでしょう。ですからくり返しになりますが、武器です。

そして最後に「外交面」です。国連を含むさまざまなプラットホームで圧力をかけ、絶えず「どうしてロシアに発言の機会を与えている?」という疑問を投げかけるべきです。なぜロシアに戦争を推進させることを許すのですか? なぜロシアが国際オリンピック委員会、国連、IAEA、ユネスコなどのプラットホームを通じて、例えばラテン諸国、中南米諸国、アフリカ大陸などと積極的に情報協力をすることを許すのですか?

つまり、私たちはグローバルな関係を変えるべきです。私たちはそのことに対して理解と支援が欲しいです、そして最も重要なことは「世界政治における弱さ」をなくしてほしいです。

「弱さ」というのは何でしょうか。ウクライナを犠牲にして、今ここでこの戦争を終わらせる機会を探していることなのです。我々は自分たちの負担で、この戦争を終わらせたくありません、なぜならウクライナだけが犠牲を払っていますが、我々はこの戦争を最後まで進める覚悟があるからです。

――7月9日で、戦争が始まってから500日を迎える。多くの人が家を失い、父親や夫を亡くした。子どもたちも亡くなった。この状況について、どう見ているか?

ウクライナ人はとても構えています。大切なことがあるからです。偉大な国であることを証明しなければならないという、歴史的な瞬間だからです。ウクライナは偉大な国です。

もう1つの要素は、我々が“公正な終結”にたどり着きたいということです。公正な終結とはどういうことか、我々は分かっているし、その終結にたどり着けなければ、ロシアがこれからも我々を殺し続けるということも分かっています。

今日ではなくても、明日、明後日と戦争の次の段階が展開し、テロリズムがいつまでも続き、ロシアからの誘発が続いて、ウクライナという国が存在しなくなります。ましてや、自分の国をとても愛していて戦場で親戚を失っていた人たちも殺されます。ロシアは許すわけがないから――我々がロシアをおとしめたこと、“ロシア連邦は恐るべき国である”というロシアの主たる神話を崩したことを許すわけがないからです。

そして、我々は損害を受けたことへの賠償も受けたい。大切なことです。そして最も大切なのは、我々が「安定している世界に生きたい」ということです。言葉でだけでなく、責任を負うことを覚悟している人の世界です。

目をそらしたり、目をつぶったりしたりしないで、「ロシアはメンツを保たなければ」とか「プーチンはああいう者だ」とか言わないでほしいのです。この者は犯罪者であると言っているからには…国際刑事裁判所の逮捕状が出ていると言っているからには、プーチンは被告席に座るべきです。そうしないと、世界はいつまでも安定することはありません。我々が帝国の存在時期を終わらせなかったがために、我々の子供たちが戦争で戦わなければならない…そういった状態はあってほしくないのです。

(後編へ続く)