「プーチン大統領は焦り始めている」との見方も…バイデン大統領「選択肢は世界大戦か代償」
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻は3日目に入り、首都キエフや第二の都市ハリコフなどへの攻勢を強めています。一方で、停戦協議に向けた動きは見られるものの、実現の見通しは立っていません。ワシントンから矢岡亮一郎記者が中継。
アメリカは、ロシア軍がウクライナ側の徹底抗戦に遭い、思うような戦いができていないとみていますが、こうした分析を受け、「プーチン大統領は焦り始めている」との見方も出ています。
アメリカ国防総省の高官からは、「ロシア軍は、首都キエフ周辺と北東部ハリコフ周辺で、想定以上の抵抗を受けている」「勢いを欠いて、いらだちを高めているようにみえる」との分析が出ています。
また、これまで軍事支援に慎重だったドイツが武器を供与する方針に転じるなど、アメリカとヨーロッパが予想外の「強い結束」を維持していることもあり、ワシントンの外交筋からは、「プーチン大統領は、焦り始めているのではないか」「ロシア軍の犠牲者が増え続ければ、国内世論も厳しくなる」との指摘が出ています。
その一方で、「プーチン氏はこのままでは引き下がらないだろう。何をしでかすか分からない」と、より残虐性の高い兵器の使用を懸念する声も上がっています。
アメリカ・バイデン大統領の最新のコメントが公開されました。
バイデン大統領「選択肢は2つだ。ロシアと実際に戦火を交え、第三次世界大戦に突入するか、あるいはロシアに国際法違反の代償を払わせるか、どちらかだ」
バイデン大統領はアメリカ軍のウクライナへの派遣について、「米露が撃ち合えば、世界大戦を引き起こす」とまで踏み込んで発言して、当初から完全に否定しています。
専門家は、「ロシアが核を保有している以上、正面衝突はできない」と指摘しています。
一方、経済制裁では、切り札とされる世界の銀行決済のシステムから、特定のロシアの銀行を排除することも発表されました。ただ、この制裁については、「効果は中長期的に出るもので、ここ数日のロシアの軍事行動の抑止にはならない」と悲観的な見方もあります。
また最新の世論調査では、アメリカがウクライナ情勢で「大きな役割を果たすべき」と考えている人は26%、4人に1人でした。キエフのこの状況を前にしても、「派兵すべき」との声はほとんど聞かれません。
そして、バイデン大統領は25日夕方にホワイトハウスを離れ、28日まで地元の東部デラウェア州の自宅で普段通りの週末を過ごしています。こうした大統領の一歩引いた姿からも、世界の警察官でなくなりつつあるアメリカの現状がうかがえます。