「都市封鎖」危惧でスーパーに殺到 台湾
これまで感染対策の「優等生」とされてきた台湾で異変が起きています。ここ数日で感染が急拡大し、「都市封鎖」を危惧した市民がスーパーに殺到する事態となっています。また、シンガポールでも食料品店に人々が押し寄せています。海外でのコロナをめぐる最新の動きです。
■シンガポール
シンガポールで人々が列をつくっていたのは食料品店。カートの中には大量の卵や野菜。店の外には入店待ちの長い行列ができていました。
去年夏以来、比較的感染者数の少ない状態が続いていたシンガポール。(感染者 6万1585人 死者 31人 米ジョンズ・ホプキンス大 17日午後5時時点)
新たなクラスターが発生していることなどから、16日から、去年の制限緩和以来最も強い屋内会食禁止などの措置がとられることになりました。外出も制限されることから、食料を買い込もうと人々が店に押し寄せたのです。
■台湾
コロナ対策の“優等生”とされてきた台湾でも、今、感染が急拡大しています。これまでの感染者数は883人。(感染者 883人(市中感染者) 死亡者 12人 台湾・衛生当局 17日発表)
去年3月以降、世界で新型コロナウイルスが猛威を振るう間も、感染者数は1日数十人程におさえられていましたが、ここ数日で感染者数が急増。17日は333人の感染が発表されました。
こうした中、各地のスーパーは大混雑。
客「人いっぱい。(携帯の)電波入らない」
食料品などが次々と売れていき、棚の商品はほとんどなくなっていました。
背景にあるのは「都市封鎖」への危機感です。感染者の急増で病床がひっ迫する中、台北周辺では娯楽施設を閉鎖するなど、警戒水準が引き上げられています。
18日からは、すべての小中学校と高校を休校とするなど、さらに対策が強化されるということです。
■インド
世界で2番目に多い2500万人近くが感染したインドでは、新型コロナにかかった患者の家族がスタジアムに押し寄せました。(感染者 2496万5463人 死者 27万4390人 米ジョンズ・ホプキンス大 17日午後5時時点)
家族らが求めていたのは治療薬のレムデシビル。何時間も待たされ疲れ切った様子の人や、怒りをあらわにする人の姿もありました。
ロイター通信によりますと、病院ではレムデシビルの不足が深刻化していて、先月には闇市で10倍以上の値段で売られていたといいます。
世界の感染状況について、WHOのテドロス事務局長は14日…
WHO テドロス事務局長
「このままでは2年目(今年)の死者数は1年目(去年)より、はるかに多くなる」
一部の富裕国がワクチンの大半を買い占め、若者など感染リスクの低い人に接種させている一方、低所得国では医療従事者にもワクチンが行き渡っていないと指摘。公平な分配を呼びかけました。
■キューバ
ワクチン不足が叫ばれる中、12万人以上が感染したキューバでは、自国で開発したワクチンの接種を開始。(感染者 12万4454人 死者 804人 米ジョンズ・ホプキンス大 17日午後5時時点)
中南米の国で開発されたワクチンが接種されるのは初めてのことです。
住民
「このワクチンは完璧です。最善を尽くしてくれました。私たちの国で作ったのです。とても早く開発してくれました」
■イギリス
446万人以上が感染したイギリス。(感染者 446万6589人 死者 12万7941人 米ジョンズ・ホプキンス大 17日午後5時時点)
人口のおよそ半数が少なくとも1回のワクチン接種をすでに終えていますが、国内では現在、インド型の“変異ウイルス”の感染が拡大中。
そこで、ジョンソン首相は14日、“ある方針”を発表しました。
イギリス ジョンソン首相
「インド型はこれまでの変異ウイルスよりも感染力が強いと考えられる。2回目のワクチン接種を加速させる」
感染力が強いとされるインド型への懸念が高まっているため、高齢者などの2回目のワクチン接種を加速させる方針を明らかにしたのです。
これまでは、ワクチンの接種間隔は12週間でしたが、今後は、50歳以上や既往症などがある人は8週間に短縮するということです。
実は、17日からほとんどの地域で飲食店の店内営業が再開するなど、緩和がすすむイギリス。ただ、ジョンソン首相はインド型の広がり方次第では今後、制限緩和のスケジュールに影響が出るかもしれないとして、警戒を呼びかけています。
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世界では1億6200万人以上が感染、337万人以上が死亡しています。(感染者 1億6276万8855人 死者 337万4593人 米ジョンズ・ホプキンス大 17日午後5時時点)
ワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は、イスラエルでおよそ63%となる一方、キューバや台湾では1%を下回っています。