原因不明…欧米を中心に子供の“急性肝炎”相次ぐ 日本でも累計58人報告
欧米などを中心に報告が相次いでいる、原因不明の子どもの急性肝炎について、厚生労働省は17日、疑いのある事例として、国内で新たに11人の報告があり、累計58人となったと発表しました。私たちは肝移植を行い回復した、アメリカの4歳の女の子を取材しました。
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アメリカ中西部・オハイオ州に住む、4歳のリヴィアちゃんを訪ねました。リヴィアちゃんは「肝臓を取られたの」と話します。
見せてくれたのは手術の痕。原因不明の子供の急性肝炎で、肝臓の移植手術を受けたのです。
今年に入って、世界で原因不明の子供の急性肝炎が増加し、34か国で700人以上の報告があります。
リヴィアちゃんに異変が起きたのは、去年のクリスマスの前でした。
リヴィアちゃんの母 エリザベスさん
「目が黄色になっていました。リヴィアに聞いたら、『おしっこがオレンジ色だった』っていうんです」
黄疸(おうだん)の症状もあったため、両親が病院に連れて行ったところ、「肝臓移植が必要になる」と診断されました。
エリザベスさん
「彼女の命が助かるなら、何でもするつもりでした」
リヴィアちゃんの父 ジャックさん
「それが一番重要でした」
リヴィアちゃんには年末にドナーが見つかり、1月、8時間におよぶ手術を受けました。
リヴィアちゃん(手術後)
「いつご飯を食べられるの?」
術後、リヴィアちゃんは順調に回復し、1月半ばに退院しました。新しい肝臓に名前をつけたといいます。
リヴィアちゃん
「テディ。好きな名前なの」
一方で、移植による拒絶反応を防ぐため、今でも数種類の薬を服用しているといいます。
リヴィアちゃんの母 エリザベスさん
「彼女は一生、薬を飲み続けないといけません」
子供の急性肝炎は欧米を中心に増えていて、原因は不明ですが、新型コロナウイルスとの関係も調査されています。
リヴィアちゃんが入院した病院の医師
「新型コロナとの関係は否定できない」
新型コロナとの関係はまだわかっていませんが、リヴィアちゃんは新型コロナの抗体検査で、陽性と判定されたということです。
また、アメリカのCDC(=疾病対策センター)は、患者の半数以上が、胃腸炎などを引き起こすアデノウイルスに感染していたと指摘しています。リヴィアちゃんからも、アデノウイルスが検出されていました。
急性肝炎を防ぐために、できることはあるのでしょうか。
リヴィアちゃんが入院した病院の医師
「ワクチンで多くのウイルス性肝炎を防ぐことができると思う 」
医師はまた、黄疸(おうだん)、黄色い目、黄色い肌、濃い色の尿が出たら、専門家に診てもらうことが重要だと指摘しました。
肝炎を克服したリヴィアちゃんの両親は、肝臓移植に関する寄付や、輸血の啓発活動を行っています。
リヴィアちゃんの父・ジャックさんは自身の活動について、「多くの人に助けられたので、恩返しをしたい。臓器提供者が増えて、多くの命が救えれば素晴らしいことです」と話しました。