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日中首脳会談 関係発展が国民の利益に合致

2010年11月14日 1:35
日中首脳会談 関係発展が国民の利益に合致

 菅首相は13日夕方、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に出席するため日本を訪れている中国・胡錦濤国家主席と会談し、日中関係の発展が国民の利益に合致するとの認識で一致した。

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以来、初めての日中首脳会談は、関係改善への一歩を踏み出そうというものだったが、わずか22分と大変短いものだった。会談の焦点の尖閣諸島問題をめぐるやりとりについて、日本政府は外交上適切ではないとして明らかにしていないが、互いの立場を主張して終わったという。その一方で、安定した戦略的互恵関係の発展が両国民の利益に合致すること、交流や協力を一層促進することなどで一致したが、漁船衝突事件の再発防止やレアアースの輸出制限などの具体的な懸案には踏み込まなかった。外務省幹部が「13日の成果は首脳同士が会ったことだ」と話すなど、最低限の会談にとどまった。

 また、日露首脳会談も行われた。ロシア・メドベージェフ大統領に対して、菅首相は「北方領土訪問は受け入れられない」と抗議したが、議論は平行線のまま、経済協力の話に移った。菅首相の抗議に対して、メドベージェフ大統領は「領土問題はロシアにとっても極めてセンシティブな問題だ」と述べるにとどまった。菅首相が「協力関係を発展させたい」と述べると、メドベージェフ大統領は「経済分野での関係発展で両国間の雰囲気を改善していくべきだ」と応じた。

 これに先だって行われたアメリカ・オバマ大統領との会談では、中国、ロシアをにらみ、基軸となる日米関係の立て直しをアピールした菅首相だが、中露首脳との会談では言うべきことはある程度言わなければならないが、経済協力関係も続けなければいけないという苦渋がにじんだ会談となった。日本の国益はどこにあるのか、菅外交の難しいかじ取りが続くことになる。