横浜市で行われているアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）は１４日、最終日を迎え、午後には首脳宣言が発表される。

　１４日は、ＡＰＥＣ地域の自由貿易圏の実現に向けた議論が行われている。菅首相はこの場で、環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）の協議に参加するなどとした日本のスタンスを表明する方針。自由貿易の推進に自ら積極的な姿勢を見せて、議長として自由貿易圏に具体的な道筋をつけたい考え。

　しかし、その枠組みをめぐっては、アメリカが推進するＴＰＰを土台にするのか、中国が重きを置く東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）を中心にするのか、激しい主導権争いが起こっている。交渉関係者は「どの枠組みを土台にするといった限定した書き方はしない方向だ」と話していて、自由貿易圏の具体的な姿はあいまいなままになるとみられる。

　一方、１４日はＴＰＰの交渉に加わっている９か国の首脳の会議もあり、菅首相もＡＰＥＣの議長国として参加することになった。しかし、いきなりトップ同士の話し合いに加わることに批判が出る可能性もある。議長として存在感を示したい菅首相だが、各国の主導権争いに加えて、国内の慎重論をどのように説得できるのか。重い課題は残ったままだ。