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「対中」「対露」の関係は?記者が解説

2010年11月15日 19:01
「対中」「対露」の関係は?記者が解説

 横浜市で行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件後初めてとなる日中首脳会談が13日に行われたが、わずか22分間と大変短いものだった。菅首相と握手を交わした中国・胡錦濤国家主席に笑顔はなく、中国との関係は一気に改善とはいかないようだ。政治部・青山和弘記者が解説する。

 13日の日中首脳会談は、胡主席から実質的に何かを引き出したわけではなく、いわば「スタートライン」に立ったばかりだ。また、中国側は国内の反日感情も抱えて関係改善にはまだ及び腰で、今後も綱渡りの対中外交が続きそうだ。

 一方、ロシアとの関係でも北方領土問題は経済連携の陰で棚上げされかねない状況で、野党側は厳しく批判している。自民党・石原幹事長は「(中・露首脳と)会談すればいいんだということが目的化されて、本当の議論が22分では、日中にしてもなされていませんし」と述べた。

 こうした中、NNNが12~14日に行った世論調査では、内閣支持率が29.4%まで急落した。しかし、外交での失地回復は当面、難しいのが実情だ。

 外交が厳しければ内政ということになるが、緊急経済対策を盛り込んだ今年度補正予算案の審議も大詰めを迎えている。

 世論調査の追い風も受けて、野党側は攻勢を強めている。15日午前9時から予定されていた衆議院予算委員会は、中国漁船衝突の映像流出事件の扱いをめぐって与野党の折り合いがつかず、7時間遅れて始まった。政府・与党は、今年度補正予算案を15日中に衆議院を通過させる方針だが、自民党は、中国漁船衝突事件への対応をめぐって馬淵国交相や仙谷官房長官に対する不信任決議案を提出する方向で調整している。このため、衆議院本会議は15日深夜以降にずれ込む見通し。