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自民党・中間とりまとめに盛り込まれなかった宿題は?政策活動費・連座制・派閥の残金…

2024年1月24日 13:21
自民党・中間とりまとめに盛り込まれなかった宿題は?政策活動費・連座制・派閥の残金…
自民党は25日、派閥のあり方などに関する中間とりまとめを正式に決定します。しかし、政策活動費・連座制・幹部の派閥離脱・派閥の残金処理など残された宿題も…。今後の課題について解説します。

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自民党は25日に派閥のあり方などについて正式に中間とりまとめを決定します。しかし、この中間とりまとめには問題点や課題が指摘されながら盛り込まれなかった宿題も数多くあります。

1.「政策活動費・組織対策費」

まずは中間とりまとめで全く触れられなかった「政策活動費」に関してです。自民党などの政党は党幹部ら政治家個人に対し、「政策活動費・組織対策費」と呼ばれる巨額のカネを支出しています。

2022年には自民党は党幹部に対し、政策活動費をあわせて14億円あまり支出していて、トップの茂木幹事長には約9億7000万円が支払われました。

ただ、「政策活動費」は自民党の収支報告書に政治家個人名での領収書を添付すればよく、使途を公開する義務がありません。「政策活動費」は選挙の際、表に出せない経費などに使われているとされ、ある自民党幹部は「政策活動費だけは何としても守る。絶対防衛ラインだ」と強調しています。

「政策活動費」は自民党だけでなく、立憲民主党や国民民主党といった野党も幹部に対して支出しているため、今後、与野党の間でどこまで使途公開の機運が高まるかが焦点になります。

2.「連座制」導入による罰則強化

次に導入が検討されながら中間とりまとめに盛り込まれなかったのが「連座制」の導入です。「連座制」とは、収支報告書にウソの記載など違法な会計処理があった場合に、会計責任者だけでなく議員本人も連帯して責任を負う制度です。

「連座制」の導入には政治資金規正法の改正が必要で、自民党の政治刷新本部でも導入すべきとの声が上がりましたが、中間とりまとめでは「会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員も事案の内容に応じて処分できるよう党則の改正を行う」と盛り込まれただけでした。

自民党の規則である「党則」の罰則を強化して議員を処分できるようにするとの内容で、「連座制もどき」とも言える中途半端な内容にとどまりました。

3.党幹部や閣僚の派閥離脱

かつてリクルート事件を受けて1989年につくられた自民党の「政治改革大綱」では、総裁、副総裁、幹事長、総務会長といった党幹部や閣僚は在任期間中、派閥を離脱することを打ち出していました。

しかし、今回の中間とりまとめでは冒頭で「政治改革大綱」に触れながら、党幹部の派閥離脱に関しては一切言及されていません。

党幹部の派閥離脱には踏み込まないのか。麻生副総裁や茂木幹事長ら派閥の領袖・トップにとどまっている党幹部らの今後の対応も焦点になります。

4.派閥解散時の残金処理

自民党では岸田派、安倍派、二階派が派閥の解散を表明していますが、今後、政治団体である派閥を解散する際に、残った政治資金、つまり「残金」をどのように処理するのかにもチェックが必要です。

かつて政党を解散する直前に数億円の政治資金が別の政治団体に寄付という形で移動されたというケースもありました。また、安倍元首相の政治団体をめぐっては、安倍氏の死後、妻の昭恵氏が複数の関連政治団体の代表になり、残された資金を引き継いでいます。

こうした代表者変更による政治資金の継承については「税金のかからない相続ではないか」との指摘も出ています。今後、自民党の派閥を解散する際、各派閥が残金についてどのように処理するかにも注意が必要です。