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「戦後70年談話」側近が明かす首相の胸中

2015年8月11日 19:09
「戦後70年談話」側近が明かす首相の胸中

 東京・千代田区にある靖国神社。この場所も戦後70年という節目を迎えています。

 敷地の一角には歴史資料館「遊就館」があります。ここは、時に国の内外から太平洋戦争に至る日本の歩みを正当化しているとの批判も受けます。

 遊就館が出しているガイドブックを見てみると、例えば満州国については「中国が権益の回収を求め、在留邦人の生命財産を脅かした」「このため、関東軍は武力を行使し、その結果、樹立された」また、1937年の盧溝橋事件をきっかけに日中戦争へと発展した背景として「中国側の反日機運があった」とだけ記し、日本が中国大陸に侵略した、との認識は示されていません。

 今でもなお論争がある「戦前・戦中の歴史」。

 参拝者「謝罪はもう十分してきたので、前向きな姿勢で談話を発表した方がいいのでは」「世界平和が一番大切なことだと思うので、周辺国とお互いに理解を深めることをしていただけたら」

 10日夜、山梨県にある別荘へと入った安倍首相。14日に発表する「戦後70年談話」について一人、調整を行ったとみられます。焦点となっている「侵略」について、民主党議員から問われた安倍首相は7日、次のように語っていました。

 民主党・玉木雄一郎議員「満州事変以降の大陸での活動について 『侵略』だとお考えになりますか」

 安倍首相「歴史につきましてはあくまでもですね、歴史家に専門家に任せるべきだろうと思います。すべての方々が、これは同じ認識に至っていない部分も当然ある」

 安倍首相はなぜ、こうした言い回しをするのでしょうか?安倍首相の側近、自民党の萩生田総裁特別補佐は、その胸中について-

 萩生田総裁特別補佐「政治カードとして次の政府に対して一つ大きな重しになるんだとすれば、その言い回しについてはご自身で考えるんじゃないか」

 韓国や中国が「侵略」などの言葉を「カード」に揺さぶりをかけてくる外交を終わりにしたい、そんな思いがあるといいます。

 一方、同じく焦点の一つとなっている「お詫(わ)び」については…。

 萩生田総裁特別補佐「お詫びの気持ちというのは常に日本人として持ち合わせていると思います。ただ、それを文字にしたからお詫びが完成するとか、文字にしなかったからお詫びの気持ちがないんだろうと思われるのは残念なことだと思うので、そこを少しですね、未来志向というものに変えていきたい」

 また、安倍首相から「談話」の原案を示されていた公明党の山口代表は11日、次のように述べました。

 山口代表「歴代内閣の談話を継承する。そのことが国民や国際社会に意味が伝わるようなものにしていただきたいという趣旨を申し上げましたので、首相にはそれは受け止めていただいていると思います」

 自らの思い、公明党からの要請、そして、外交への影響…。安倍首相は難しい判断を迫られています。