ラオスで開催されているＡＳＥＡＮ（＝東南アジア諸国連合）外相会議は２５日、共同声明を発表した。焦点の南シナ海の問題をめぐり、中国側の主張を否定した仲裁裁判所の判決についての言及は見送られた。

　南シナ海問題への一致した対応ができるかどうかが焦点となる中、中国とつながりが強いカンボジアなどの反対もあり、共同声明は玉虫色の内容となった。

　共同声明では、中国を念頭に、南シナ海での開発に深刻な懸念を表明したものの、今月、仲裁裁判所が出した南シナ海での中国の領有権を否定した判決についての言及は、見送られた。

　一方、岸田外相は中国の王毅外相と会談し、南シナ海問題について、「これ以上の緊張を高める行動は控えるべき」と伝えた。しかし王毅外相は、「中国の領土だ」とする従来の主張を繰り返したということで、議論は平行線に終わった。

　岸田外相「我が国の立場はしっかりと伝えました。日中で協力をしていく肯定的な側面についてもしっかりと意見交換しました」

　また、岸田外相は韓国のユンビョンセ外相とも会談し、去年１２月の、いわゆる慰安婦問題をめぐる日韓両政府の合意について、双方が着実に実施していくことを確認した。