“辺野古”国側勝訴 米軍基地の今後は…?
アメリカ軍・普天間基地の辺野古移設をめぐり沖縄県と国が争っていた裁判で、最高裁は「国の勝訴、沖縄県敗訴」の判決を言い渡した。今後、米軍基地はどうなるのだろうか
■最高裁判決を受けて辺野古移設工事は再開するのか?
政府高官は、来月にも工事を再開させる意向を示している。そして来月にはもう一つ、今後のアメリカ軍駐留を考えるうえで大きな変化がある。来月20日に大統領に就任するトランプ氏の存在だ。トランプ氏は選挙期間中、「在日米軍の駐留経費のさらなる負担」と、それが実現しない場合の「撤退の可能性」にまで言及していた。
■アメリカ軍が撤退し、基地が無くなる可能性は?
現実味は薄いと見られる。トランプ氏は大統領選で勝利して以降、アメリカ軍撤退などにはまったく触れておらず、ビジネスマンらしく駆け引きでこういった発言をしていたという見方もある。
安倍首相も来月下旬には初の首脳会談を調整中で、アメリカ軍駐留の意義などを確認したい考えだ。
■“日米安保条約”をめぐって
一方、日本におけるアメリカ軍基地という点では、ロシアのプーチン大統領から新たな発言が飛び出した。プーチン大統領は、先週の日露首脳会談の後、アメリカ軍駐留の根拠となる日米安保条約にわざわざ言及して「ロシア側の懸念を考慮して欲しい」と訴えた。
日米安保条約は日本が基地を提供するかわりに、アメリカが日本を防衛する義務を定めているが、ロシア側は北方領土を仮に引き渡しても、アメリカ軍の基地を置いて欲しくないと考えているようだ。
ロシアにとって、北方領土はアジア太平洋への出入り口として、安全保障上、極めて大事だからだ。ただ、島が日本に返還された場合には日米安保条約適用の対象となるので、北方領土における基地の建設を排除することは難しい。
中国の艦船が接近を繰り返す尖閣諸島は、日本が施政権を持っているため、アメリカ側はわざわざ日米安保条約の適用を明言している。それだけに、北方領土だけは例外に…とはなかなか表立っては言えない状況だ。
アメリカ、ロシア、そして中国。日本を取り巻く大国との関係がめまぐるしく動く中で、日本の安全を守る仕組みがどうなっているか、私たちもよく知っておく必要がある。