“不適切”統計調査 担当官が直撃取材に…
厚生労働省が不適切な勤労統計調査を行っていた問題で、22日、特別監察委員会の調査結果がまとまった。
日本テレビは、データの補正が始まった当時の担当官を直撃。語ったこととは…。
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22日、夫を過労死で亡くして以来、労災保険から遺族補償年金をうけとっている女性を訪ねた。生活を支えるこのお金が、“不適切調査”により、14年にわたり、少なく給付されていた可能性がある。
過少給付の影響を受けた寺西笑子さん「国のすることですから間違いがないと思っていました。過少受給させているということは、本当にあってはならないし、国民を裏切っている。亡くなっていった人を、裏切っているということです」
“ずさんな調査”に対する憤りの声を上げた。
厚労省の推計によれば、遺族補償年金の受給などが本来より少なく給付されていた金額は、一人当たり平均9万円にのぼるという。
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厚労省が「毎月勤労統計」で、不適切な調査を行っていた問題で、22日、有識者らからなる「特別監察委員会」が調査報告書をとりまとめ、厚生労働相に手渡した。
また、根本厚労相は、過去のいきさつや原因について徹底した解明を行い、関係職員の処分なども含めて対応していくと発表した。
根本厚労相「仮に法令違反があったと認められた場合は、職員処分を含め厳正に対処したいと考えております」
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こうした中、日本テレビは、厚労省内で共有されていたマニュアルを入手。2011年に作成されたものには、「全数調査にしなくても精度が確保できる」と、本来、従業員500人以上の事業者については全数調査をすべきところ、ルール違反を容認するような文言が書かれている。
しかし、その3年後に作成されたマニュアルには、その文言が書かれた部分が項目ごとなくなっている。
“不適切調査”が始まった2004年以降、省内では、ルール違反を容認する内容のマニュアルが共有されていたが、2014年4月作成のマニュアルではその内容が削除されている。
実は、そのひと月前に、総務省が、正確な統計を作るよう各省庁に呼びかけていた。そして、去年1月からは本来の数字に近づけるため、公の説明なしにデータの補正が始められた。
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22日、データの補正が始められた当時の担当者を直撃した。
記者「認識はあったんですか?勤労統計に関する不正に」
厚労省雇用・賃金福祉統計室 元参事官「・・・」
記者「当時の参事官ですよね?」
厚労省雇用・賃金福祉統計室 元参事官「調査といいますか、自分の話を聞かれてますけど」
聞き取りを受けているため、コメントできないと話した。
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22日、野党は各省庁の担当者を呼んで、実質賃金が上がっているように見せかけるため、データ補正をしたのでは、と追及した。
国民民主党・山井和則議員「もしそう(誤った結果)であれば、賃金偽装のみならず、アベノミクス偽装になるんですよ」
厚労省担当者「再集計値の結果次第ということになるかと思います」
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24日には、国会で閉会中審査が行われる。