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【全文】育休中の“学び直し”「後押し」から「本人希望すれば」…岸田首相の発言はどう変わった?時系列でみる、育休中の「リスキリング」をめぐる首相の国会答弁

2023年1月31日 7:00
【全文】育休中の“学び直し”「後押し」から「本人希望すれば」…岸田首相の発言はどう変わった?時系列でみる、育休中の「リスキリング」をめぐる首相の国会答弁

岸田首相が27日、国会で、育児休業中の学び直し、いわゆる「リスキリング」について問われ「育児中でも後押しする」と答弁したことに批判が集中しています。ネット上では「育休中に学び直しなんてできない」「育休は休暇じゃなく、24時間働いているのにどうやって学び直すんだ」など批判が――。

30日に行われた衆議院予算委員会で首相は釈明に追われ「本人が希望すれば環境整備を強化していく」などと説明しました。そもそも、岸田首相は最初にどのような答弁をし、どのように釈明したのでしょうか。育休中の「リスキリング」をめぐる首相の国会答弁を全文公開します。

■育児中の学び直しを「後押し」

きっかけは、27日(金)の参議院本会議での自民党の大家敏志議員の質問でした。大家議員は「産休・育休中の親にリスキリング支援を行う企業に国が一定の支援を行う」などの政策を提案。それを受け、首相はこう答弁しています。

〇岸田首相の答弁
子育て世代に対するリスキリング支援と女性の就労の壁を取り除く取り組みについてお尋ねがありました。政府としては、人への投資の支援パッケージを5年で1兆円に拡大し、リスキリングへの支援を抜本的に強化していく中で、育児中など、様々な状況にあっても主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押ししてまいります。

岸田首相のこの発言に対しては、子育て世代の当事者を中心に「育休は休暇でなく、24時間子育てに追われているのにいつ学び直すのか」などと批判が相次ぎました。

これを受け、翌週の30日(月)午前の衆議院予算委員会で、首相は自民党の鈴木貴子議員の質問にこう答弁しました。

〇岸田首相の答弁

リスキリングに関する(参議院)本会議での発言の趣旨ですが、私自身も3人の子供の親です。子育てというものが、経済的、時間的、さらには精神的に大変だということは目の当たりにしましたし、経験もいたしました。そうした中で、産後育休時の大切さ、例えば私自身、政調会長のときには、産後8週間以内に取得できる、産後パパ育休など育休制度の拡充に取り組み、そして今、次元の異なる少子化対策に取り組んでいます。

本会議の発言で申し上げたのは、リスキリングに関してライフステージのあらゆる場面において、学び直しに取り組もうとする際に『本人が希望した場合』にはしっかりと後押しできる、そうした環境整備を強化していくことが大事であると。あらゆるステージにおいて『本人が希望したならば』、そうしたリスキリングに取り組める環境整備を強化していくことが重要だという趣旨で申し上げたわけでありません。

■「今後は誤解のないように発信を」

この問題に対する質問はやみません。午後の予算委員会でも、立憲民主党の山井和則議員から「認識がずれているのでは」と厳しい質問がありました。それに対する首相の答弁です。

〇岸田首相の答弁

私自身、3人の子供を持つ親であり、まず子育て自体が経済的にも精神的にも、また時間的にも大きな負担があるということは経験しておりますし目の当たりにしているところです。そしてその中でも産後、そして育休時の大変さを認識しているからこそ、私自身政調会長時代に育休制度の拡充に取り組んだことでもありました。ぜひ答弁、いま1度よく確認していただきたいと思いますが、私の答弁の部分はリスキリングに関して、ライフステージのあらゆる場面において、学び直しを取り組もうとする際に『本人が希望した場合』にはしっかり応援できる後押しできる、こうした環境整備を強化していくことが重要だということを申し上げました。

ご指摘の点はしっかりと受け止めなければいけません。ただ育休・産後ですね、決して甘く見るという趣旨ではないということはご理解いただきたいと思います。ご指摘は謙虚に受け止め、今後、発言については、より丁寧に、誤解のないように発信をしていきたいと考えます。

〇立憲民主党・山井議員の質問

この質問自体が産休中・育休中のリスキリングの後押しということですから、全ての年代にという話とは違うと思うので確認します。やはり育休中の学び直しは事実上困難だと、そういう認識でよろしいですか。

〇岸田首相の答弁

今、申し上げたように、産後産休の状況の中で、さらに様々な取り組みを行うということは、大変難しい状況にある、大変な負担であるということは十分認識しております。いずれにせよ申し上げたのは、本人が希望した場合にはしっかり後押しできる環境は大事だと、あらゆるこのライフステージにおいてそういった考え方をしっかりと徹底していきたい、こういったことを申し上げた次第であります。

■産休・育休中の“学び直し”…首相「大変難しい、大変な負担」

育休中の「学びなおし」について首相は「3人の子どもの子育てで、経済的・時間的・精神的に大変だということは目の当たりにした」と述べた上で「大変難しい、負担だ」と強調しました。

その上で「『本人が希望した場合』にはしっかり応援できる、後押しできる環境整備を強化していくことが重要」と説明しました。

なぜ27日時点では、「言葉足らず」の答弁になったのか。ある首相周辺は「学び直しの機会を求めている人を後押しするというだけで、育休中に資格を取れ、ということを意味しているわけではなかった」と説明。別の政府関係者も「用意した答弁が稚拙だった。育休の改革に取り組んでいるので、しっかり総理には誤解ないように説明してほしい」などと指摘しています。

岸田政権は「異次元の少子化対策」に取り組むと表明しています。今後も誤解を招かないような説明が求められます。