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“統一教会”被害者救済法案 立憲が賛成へ転じた2つのワケ

2022年12月9日 3:17
“統一教会”被害者救済法案 立憲が賛成へ転じた2つのワケ
8日 救済法案が衆院本会議で通過

今の国会で最大の焦点となっている、いわゆる統一教会の被害者を救済するための法案をめぐり、政府与党と立憲民主党が修正合意した。なぜ、当初は反対だった立憲が、一転“賛成”に転じたのか? 決断の背景にあった2つのワケとは。

■維新との“共闘”姿勢 崩せず

この臨時国会、立憲民主党が力を入れたのが日本維新の会との“異例”の政策連携だった。

救済法案で政府・与党より先に動いたのは、この「共闘体制」を組んだ立憲と維新。今年10月、救済法案を国会に提出した。今の国会での法案成立に向け、政府・与党側に働きかけたことで、与野党協議がスタート。その後、政府側が修正協議で提示した案に対して、立憲・維新は救済には「不十分だ」として修正を要求。与野党の溝は埋まらない状態が続いた。

そんな空気に変化が出たのが、政府が2度目の修正案を示したあとだった。立憲内部からは「不十分」という声が多かったが、先に態度を軟化させたのが、維新だった。これまで足並みをそろえてきた維新が「賛成」に一気に傾いた。すると、立憲内部からは「ここまで一緒にやってきて、反対をしたら維新に手柄を取られてしまう」などと、動揺が広がったという。

一方で、維新との連携についてある立憲幹部は「“数の力”による成果が出ている」と評価している。法案「賛成」決断の背景には、最後に維新との連携が崩れてしまって、築き上げた「共闘体制」が台無しになるのを避けたかったという本音があるのかも知れない。

■世論の“反発”を懸念

もう一点は、立憲が法案に反対した場合、「世論から取り残されるのではないか」という懸念だ。世論調査でも法案成立への期待感が高いなか、維新が賛成する以上、立憲が反対すると、「いつも反対をしている党」というイメージがつき、党にとってマイナスになるという声があがった。

法案には国民民主党も賛成し、8日、衆議院の本会議を通過した。議論の舞台は参議院に移り、会期末の10日に成立する見通しだ。

果たして、立憲も『賛成』にまわった新法は、実効性を伴うのか―。党内からは「意味のない“ザル法”だ」という意見もある。

立憲・長妻政調会長「まだまだ私は及第点には達していないと思いますが、実効性は高まるとは思います。賛成をすることによって、2年の見直し(期間に)、より良い法律に、不十分から十分な法律にしていく努力はこれからも続けていきます」

西村被害対策本部長は、「もろ手をあげて賛成する人はいなかった」と明かした。

実際に、被害者を救済しうる法律として機能するか。残された課題を解決するため、実効性をあげるため、各党が問われることになるだろう。

(野党クラブ・長谷栞里)