【全文】「安倍元総理大臣の国葬」経費は約12億円松野官房長官(12/22午前)
安倍元総理大臣の国葬をめぐり、政府は、有識者へのヒアリングを終え、報告書をまとめました。国葬に要した経費は合計で約12億円。松野官房長官は会見で「国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか引き続き検討していく」と述べました。
<会見トピックス>
▽鳥インフルエンザ関係閣僚会議開催
▽国葬の報告書
▽中国海軍の動向
▽日本学術会議
▽国葬
▽原発の運転期間延長について
▽東京五輪経費
▽障害者施設不妊処置
▽中国警察の拠点
○松野官房長官
先ほど今年度第二回の鳥インフルエンザ関係閣僚会議を開催し、全国で発生が続いている鳥インフルエンザへの対応について、議論を行いました。閣僚会議では、今シーズンは全国的に環境中のウイルス濃度が高まっていると専門家が指摘していることをふまえ、総理から、発生予防およびまん延防止の取り組みを徹底していくため、鶏舎周辺の敷地など農場において、緊急消毒を実施するよう指示がありました。これから年末年始を迎えますが、政府としては、引き続き、鳥インフルエンザのまん延防止は、危機管理上の重要な課題であるとの認識に立って、監視警戒態勢を強化し、関係各省の緊密な連携のもと、対応に万全を期してまいります。
次に安倍元総理の国葬儀について、幅広い有識者から意見を伺い、論点を整理するため、10月中旬から12月にかけて憲法、行政法、政治学、外交等の分野の学識経験者およびマスコミ各社の論説委員等50名近くの方々に対して意見聴取を打診しました。そのうち、了解いただいた21名の方から意見を聴取し、今般故安倍晋三国葬儀に関する論点と意見を取りまとめたので、お手元にお配りした通り、公表をいたします。
聴取した意見は法的根拠と憲法との関係、実施の意義、国会との関係、国民の理解、対象者、経費や規模の妥当性、その他の論点ごとに整理しました。
論点ごとにそれぞれの専門の立場から、非常に多様で幅広い意見を出していただき、意見聴取に応じていただいた21名の有識者の方々には厚くお礼申し上げたいと思います。今後、国民各層の幅広いご理解を得ることができるよう、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか、引き続き検討してまいりたいと考えております。また、故安倍晋三国葬儀に要した経費について、お手元にお配りした通り概数値を取りまとめたので、あわせて公表します。国葬儀に要した経費は合計で約12億円となりました。詳細については各府省庁にお問い合わせをいただきたいと思います。私からは以上です。
――国葬の報告書の関係でうかがいます。今回の論点整理の評価等、これを踏まえて今後、政府としてどのようにルール作りを進める考えか伺います。岸田総理はかねて国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか、一定のルールを設けることを目指すとしていますが、国会の関与のあり方に絞って検討するのか、それとも対象者など今回のヒアリングで論点となった他のテーマも含めて検討するのか、スケジュール感とあわせてお聞きします。
○松野官房長官
冒頭申し上げた通り、故安倍晋三国葬儀に関する意見聴取結果と論点の整理を公表しました。有識者の方々からは、それぞれの専門の立場から非常に多様で幅広い意見を出していただき、論点が整理できたと考えています。国会との関係については、これまでも国葬儀実施前の9月8日に、衆参の議院運営委員会の閉会中審査に総理と私が出席し、国葬儀について説明し、質疑を行ったという経緯があります。そのため、今回の論点整理についても何らかの形で国会にもお届けをしたいと考えていますが、その取り扱いについては国会において検討いただくことになると考えています。また、今後のスケジュールや、一定のルールのあり方については、現時点で予断を持つことなく、まずは今回の論点整理も踏まえ、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか引き続き検討してまいりたいと考えております。
――関連です。今後、聴取内容を踏まえて政府として何か示さないのか。
○松野官房長官
先ほど申し上げました通りでございますけれども、今回の論点整理も踏まえ国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか引き続き検討して参ります。
――中国海軍の動向について。中国の空母の発着艦が20日までで130回に達しています。その後も発着艦は確認されているのでしょうか。
○松野官房長官
12月17日から20日にかけて、太平洋において、空母遼寧を含む、中国海軍艦艇が航行し、約130回の艦載戦闘機および艦載ヘリの発着を行っており、その後も継続していることを確認をしています。なお、艦載機の発着を含む空母の活動については、今後、防衛省から適切な形で公表する予定であります。
――日本学術会議について伺います。昨日、学術会議は総会を開き、会員選考に関与する第三者委員会の設置などを盛り込んだ政府方針の再考を求める声明を決定しました。内閣府の担当者は総会で、通常国会に関連法の改正案を提出する方針を示しましたが、対話を続け法改正を遅らせる考えなどはありますでしょうか。また、そもそもの問題の発端は菅前総理が2020年秋に会員候補6人を任命しなかったことにありますが、学術会議は引き続き6人の任命を求めています。政府としてどう対応するか改めてお尋ねします。
○松野官房長官
昨日開催された日本学術会議の総会において、内閣府が12月6日に公表した、日本学術会議の在り方についての方針に関する声明が出されたと聞いています。
方針については引き続き丁寧に説明し、日本学術会議の意見も聞きながら、後藤大臣の下で法制化に向けた具体的措置の検討を進めていくものと承知をしています。なお、一昨年10月の日本学術会議の会員任命については、日本学術会議法に沿って、任命権者である当時の内閣総理大臣が最終判断したものであることから、一連の手続きは終了したものと承知をしています。
――国葬に戻ります。今後の検証、ルール作りを含めた検証についてのスケジュール感はなぜ示されないんでしょうか。
○松野官房長官
これも先ほど申し上げましたけれども、今後のスケジュールや一定のルールのあり方については、まずは今回の論点整理も踏まえ国会の関係などどのような手順を経るべきなのか、引き続き検討してまいりたいと考えております。
――原発の運転期間延長について。原子力委員会の事務局の原子力規制庁が山中委員長からの指示を受ける前に経産省と情報共有して法改正に向けた検討を始めていました。弊社の取材に規制庁は、経産省との情報交換を認めていますが、規制委員会の独立性や透明性にとって問題とは考えないでしょうか。政府の見解を伺います。
○松野官房長官
報道については承知していますが、現在、原子力規制委員会において事実関係を確認中と聞いています。一般論として申し上げれば、関係行政機関が関係する政策について、情報交換を行うことは業務の一環であり、問題があるとは考えていません。その上で、独立性の高い原子力規制委員会において、高経年化した発電用原子炉の安全性を確認するための規制のあり方について、これまで検討が進められてきたものと承知しています。いずれにせよ、科学的な見地から原子力の安全性を確保していく上で、今後とも独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていく方針に変わりはなく、規制制度の変更を伴う判断が必要な場合には、公開の原子力規制委員会の場で決定されるものであり、独立性、透明性に問題があるとは考えていません。
――東京五輪経費について。会計検査院は、組織委員会が1.4兆円とした大会経費について国負担分が約3000億円多い計1.7兆円に上るとの検査結果を公表。国は支出額を公表していませんが、検査院は「国際的なイベントの場合は、イベント全体の経費の総額を明らかにする仕組みなど、十分な情報提供を行う態勢」の検討を求めていますが、国としてどう対応するか。
○松野官房長官
今回、会計検査院が公表した報告書においては、今後国が相当程度関与する国際的な大規模イベントに関しては、国民の理解を得るための十分な情報提供を行うこと等について指摘がありました。このことについては、スポーツ庁とJOCが中心となって立ち上げたプロジェクトチームにおいて、今後検討していくものと承知しています。政府としては、今回公表された報告書の指摘について、真摯に受け止め、適切に対応してまいりたいと考えております。
――北海道江差町の社会福祉法人が運営するグループホームで、結婚や同棲を希望する知的障害者に不妊処置を求めていた問題に関連して伺う。障害者支援の現場からは、障害者同士の間に生まれた子供の支援は、法律の対象外で、交際や出産の対応に苦慮する声が上がっています。国として、障害者の性の問題にどう対応してきているのか。政府において障害者が安心し、子育てできる環境整備の必要性について、どう考えるか。
○松野官房長官
結婚、出産、子育ても含め障害者がどのような暮らしを送るかは、本人が決めることが前提であり、その意思決定を丁寧に支えることが重要と考えています。障害者の生活とその子どもの養育を支えるためには、地域において、障害福祉、母子保険、保育、社会的擁護などの関係機関の連携のもと、確実に障害福祉サービスや子育て支援等が行われることが重要であり、どのような支援が利用できるかとの立場に立って、厚生労働省において、引き続き対応を進めていくものと承知しています。
――先日、外務省などが自民党外交部会などの合同会議で、スペインのNGOが公表した報告書の内容として、中国の警察当局が日本国内に活動拠点を設置している可能性があると、明らかにしました。外務省はすでに外交ルートを通じて中国に対して、仮に我が国の主権を侵害するような活動が行われているのであれば、断じて容認できないとの申し入れを行っているとのことですが、その際に仮にという言い方はこの会見で度々長官も使われますけれど、仮を前提として、申し入れすることにどのような効果があるんでしょうか。もう1点は自民党の議員や、一部にネットユーザーから、実態解明を急ぐよう求める声が相次いでおります。欧州など10数カ国はすでに実態調査に乗り出しているわけですが、本件に関して調査などを既に行っているのか、あるいは今後行うお考えはあるのか。
○松野官房長官
本件については、我が国としては、引き続き情報の収集及び分析に努めていくところであります。
同時に、現時点から中国側に対して、我が国の主権を侵害するような活動は断じて容認できないという我が国の立場を明確に説明していくことは、極めて重要と考えています。
我が国としては、今後実態解明を進めながら、全ての必要な措置をしっかりと講じていく考えであります。