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尖閣周辺で中国海警“不気味な動き”狙いは

2021年7月13日 21:20

13日、今年の防衛白書が閣議で報告されました。政府は、尖閣諸島での中国の動きについて「国際法違反」だと厳しく批判しています。この週末、遠巻きに日本漁船を監視するような動きをみせていた中国側。どんな思惑があるのでしょうか。


■中国海警局の船が漁船を追尾…尖閣諸島の今

27年間にわたり尖閣諸島に向き合ってきた石垣市の仲間均市議。7月10日、自身が所有する漁船「鶴丸」で尖閣諸島に向かいました。

漁港を出港しておよそ5時間。尖閣諸島の接続水域に近づくと、海上保安庁の巡視船3隻が「鶴丸」の周りを固めました。

すると……

仲間市議
「すでに中国の公船、待ち構えています」

中国海警局の船2隻が現れ、鶴丸の追尾を開始。海保の巡視船が間に割って入ります。前方に見えるのは魚釣島。鶴丸が日本の領海に入ると、海上保安庁の警告を無視して領海内に侵入してきました。


■中国側の狙いは…5月以降に“不思議な動き”も

仲間市議によると、鶴丸を追って領海に侵入したり、島のすぐ近くに位置取りしたりする動きは、中国海警局の船の特徴だといいます。

その狙いについて、外交・安全保障政策の専門家・笹川平和財団の小原凡司氏はこう分析します。

小原凡司氏
「中国は海警法を制定して、尖閣諸島周辺での活動も正当な法執行であると主張しようとしていると思います。より国際司法の場で中国の立場を有利にしようという意図が働いているのだと考えられます」

その一方で、今年の5月以降に見られるようになった“動き”もあるといいます。

仲間市議
「ここにも中国の公船です。しかし近寄ってきません、不思議です」

中国海警局の船は、カメラで捉えるのが難しいくらい離れています。

今年4月に仲間市議が撮影した映像を見ると、以前は漁を妨害するかのように接近してきているのがわかります。しかし、その映像を仲間市議が公表して以降、遠巻きに監視するようになったというのです。

この狙いとは。

小原凡司氏
「(対立する)アメリカの圧力を低減する最も効果的な方法は、同盟国をアメリカから引き離すことです。あまり日本を怒らせないようにしたいという意識が働いているのだと思います」

以前よりは接近しなくなった中国海警局の船ですが、度重なる退去要求を無視して、結局47時間以上にわたり日本の領海に居座りました。


■仲間市議「漁民が行かなくなったら終わり…行き続けることが守ることに」

こうした尖閣諸島周辺での領海侵入について、今年の防衛白書は「国際法違反」だと厳しく批判。また武器使用を認めた新たな「海警法」について「わが国の正当な権益を損なうことはあってはならない」と中国をけん制しています。

この防衛白書について、中国外務省は、「中国の正当な海洋活動をあれこれ批判し、いわゆる中国の脅威をあおっているが、これは大きな誤りで無責任な行為だ」と述べました。

日本テレビが2012年に撮影した尖閣諸島・魚釣島周辺の水中映像では、青く澄んだ海中を多くの魚が泳ぎ、豊かな漁場であることがわかります。

仲間市議はこう指摘します。

仲間市議
「邪魔さえなければ朝と夕方、結構釣れるんだけどね。しかし漁民が行かなくなったら終わりだからね。行き続けることが領海を守ることにもつながるんじゃないかな」