米軍や自衛隊など合同訓練“中国”念頭か
24日、沖縄の近海でアメリカ軍や日本の自衛隊などが合同訓練を行いました。今回の訓練にはこの海域では初めてイギリスの空母も参加。大規模な訓練の狙いとは…。
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沖縄の那覇基地で、「ある訓練」を取材するため、陸上自衛隊のヘリに乗り込みました。離陸しておよそ1時間、ヘリは海上自衛隊の護衛艦「いせ」に到着しました。そこで目の前に現れたのが、白い巨大な船、イギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」です。
イギリス政府は、今年に入りインド太平洋地域に外交の重心を移す方針を打ち出していますが、その一環として「クイーン・エリザベス」を中心とした空母打撃群は、今年5月にイギリスから出航しました。現在は沖縄周辺の海域に到達し、アメリカの呼びかけで、日米英の共同訓練に参加したのです。
この訓練の念頭にあるとみられているのが、中国です。中国は、台湾制圧を想定したとみられる訓練や、新型ミサイル発射実験を相次いで行い、その様子を公開しています。アメリカなどの圧力に屈しない姿勢を内外に示す狙いがあるとみられます。
こうしたなか、報道陣に公開された共同訓練は、日米英の連携を強くアピールしたものでした。「クイーン・エリザベス」には最新鋭のステルス戦闘機F-35Bが搭載されています。
このF-35Bが発艦するのとほぼ同じ頃、沖縄の那覇基地からは航空自衛隊のF-15戦闘機4機が離陸しました。「クイーン・エリザベス」の艦載機と航空自衛隊が空中戦の共同訓練を行ったのです。
また、この後には、海上自衛隊の護衛艦「いせ」にアメリカ海兵隊のオスプレイが着艦したり、「クイーン・エリザベス」から飛来したイギリス海軍のヘリが着艦したりしました。
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「クイーン・エリザベス」と自衛隊が、日本の近海でこのような訓練を行うのは、初めてのことですが─。
「いせ」飛行長・山川剛2等海佐
「同じ操縦士として、安心して不安なく、着艦させることができたと思っています」
さらに訓練の終盤には「クイーン・エリザベス」を中心にして隊形を組み、上空から写真や映像の撮影が行われました。今回の共同訓練は、日米英の連携を目に見える形で示しました。参加した海上自衛隊の幹部は、特定の国を想定したものではないとした上で─。
第2護衛隊群司令・今野泰樹海将補
「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた、強力なパートナーとなる欧州諸国の国々が、積極的に同地域へ関与してくれることについては、歓迎するものであります」
一方、訓練を受けて中国外務省は─。
中国外務省報道官
「国家間の軍事協力は、地域の平和と安定や、第三者の利益を損なうべきではない」