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ベールに包まれた英空母 内部を“初取材”

2021年9月8日 19:10
ベールに包まれた英空母 内部を“初取材”

アジアの海を舞台に、中国を封じ込める“包囲網”を強化する動きが進んでいます。先月、沖縄周辺で行われた合同訓練にはイギリスの空母が参加しました。その内部に今回初めて日本のカメラが入りました。

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神奈川県にある横須賀基地で8日午後、4日から寄港していたイギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」が出港しました。日本テレビは6日、日本メディアとして初めて、このクイーン・エリザベスの艦内を取材することができました。

間近で見るとまるで城のように高くそびえるブリッジ、高さは56メートルあります。重さは6万5000トン、長さは280メートル。最大で1600人が乗り組むイギリス海軍最大の軍艦です。

出迎えてくれたのはクイーン・エリザベスの士官たち。艦内は戦闘の際、被害を最小限に抑えられるよう細かい区画に分かれていて、彼らがいなければ自分たちがどこにいるのかまったくわかりません。

まずは操舵室で、担当者が「旗艦クイーン・エリザベスにようこそ」と出迎えてくれました。

操舵室担当「ここに操舵(そうだ)がありますが、多くの人が考えるものより小さいです」

操舵室は、レバーやボタンなどは最小限で、すっきりとした印象。艦長が座る椅子は自動車メーカー「ジャガー」特製のスポーツシートだそうです。

続いて案内されたのは、後部アイランド。甲板の後ろ側にあり、飛行場でいえば管制塔の役割も担っています。上ってみると、滑走路が一望できます。

サッカー場3面分もの広さがあるフライトデッキに立つと、目の前にステルス戦闘機F-35Bが並んでいました。このF-35Bは、スキーのジャンプ台のような坂を利用して、短距離で離陸することができます。さらにヘリコプターのように垂直に機体を降下させ着艦します。

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クイーン・エリザベスにはイギリスのF-35B戦闘機のほか、アメリカ軍のF-35Bも置いてありました。最新のネットワーク性能など高い能力を持つ機体で、今回、クイーン・エリザベスは、イギリス空軍とアメリカ海兵隊に所属する18機を搭載。その上で駆逐艦や潜水艦などと空母打撃群を編成し、今年5月にイギリスを出港した後、地中海、スエズ運河、アデン湾、南シナ海などでの活動を経て日本までやってきたのです。

海洋進出を続ける中国をけん制する狙いもあるとみられますが、司令官は──

英空母打撃群 ムーアハウス司令官「日本への寄港は、イギリスがいかに日本とのパートナーシップに肩入れしているかを示す証しと言えるでしょう」

また司令官は、南シナ海を通過する際に「中国海軍の艦艇が影のようについてきた」ことを明かしました。

中国外務省はイギリスの空母打撃群の派遣について、「武力をひけらかすやり方は建設的ではない」としています。

横須賀を出港したクイーン・エリザベス。今後は航空自衛隊のステルス戦闘機F-35Aなどと共同訓練を行う予定です。