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NHK都庁クラブまた記者が過労死 遺族「職員の命 危険にさらす組織風土の見直しを」

2022年9月2日 18:36
NHK都庁クラブまた記者が過労死 遺族「職員の命 危険にさらす組織風土の見直しを」

NHKは2日、2019年に死亡した40代男性記者が労災認定を受けたことを緊急会見で公表。担当理事は「かけがえのない家族を失ったご遺族の皆さまに大変申し訳ない」と陳謝した。

NHKは2日、2019年に死亡した40代男性記者が労災認定を受けたことを公表。午後2時からの緊急会見では、人事労務担当の安保華子理事が「かけがえのない家族を失ったご遺族の皆さまに大変申し訳なく思っています。心よりおわびいたします」と述べ、深く頭を下げた。

NHKでは、2日に公表の男性記者と同じ、東京都庁記者クラブ担当だった佐戸未和さんが2013年に過労死し、2017年に事実が明らかになって以降は、組織をあげて再発防止に取り組んできた。

しかし、一定時間を超える残業をした記者らに対する「産業医による面接指導」は呼びかけこそすれ、実際に受ける記者らはほとんどおらず、労働基準監督署から「受診率の低さ」を指摘されたという。

安保理事は「再び労災認定を受けたことは痛恨の極みであり、大変重く受け止めています。組織全体で2人の死をしっかり胸に刻み、働く1人1人の健康を最優先に、再発防止を徹底してまいります」と述べた。


【遺族のコメント】

今般、夫の死亡と生前の長時間勤務との間の関連性が認められ、労災認定の知らせを受けました。

今はまず、私たちの主張が認められてほっとしています。

長年厳しい報道の現場に身を置き、誇りをもって懸命に働いてきた夫ですが、かわいがっていた幼い子どもを残し、突然人生が終わってしまった夫の心情を考えると今も胸が張り裂ける思いです。

NHKでは同じ職場で過去にも同様のことがあり、どうしてまたこのようなことが起きてしまったのか、大変くやまれます。

生前、夫は「自分より働いている人がNHKにはたくさんいる」とよく言っていました。

私自身も夫を守ることができず自責の念に堪えません。

職員の皆さんは「人々の命と暮らしを守る」という高い組織理念のもと、必死に働いていると思いますが、職員の命を危険にさらすほどの勤務を認めてきた組織の風土から改めて見直し、今後は職員やその家族の人生や幸せを軽んじることのない団体に生まれ変わることを切に願っています。

残された私たち家族は生活の拠点を移し、新しい環境でそれぞれ頑張っています。

どうかそっとしておいて頂きたいと思います。

最後に、私たちがここまでやってこられたのは、多くの方々に助けて頂いたからこそです。

改めて感謝を申し上げます。

ありがとうございました。


【NHKのコメント】

公共メディアをともに支える職員が亡くなり、再び労災認定を受けたことは痛恨の極みであり、大変重く受け止めています。

ご遺族には心より深くお詫び申し上げます。

外部の有識者の意見を伺いながら、早急に健康確保の徹底を進めていきます。