【全文】北ミサイル発射の情報発信「問題があったとは考えていない」松野官房長官(11/18午後)
北朝鮮が18日に弾道ミサイルを発射したことをめぐり、松野官房長官は会見で情報発信に「問題があったとは考えていない」と述べました。
<会見トピックス>
▽北朝鮮ミサイル関係
▽"統一教会"被害者救済新法
▽10増10減
▽寺田大臣の政治資金問題
▽サウジアラビア・ムハンマド皇太子来日報道
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――北朝鮮のミサイルを巡る国際社会との連携について伺います。総理や外務大臣による関係国との会談、高官を含む政府関係者による電話会談などの実施、調整状況をお聞きします。また、アメリカや韓国と連携して国連安全保障理事会の緊急会合などの改正を働きかける可能性についてもお聞きします。
○松野官房長官
本18日 、タイのバンコクで、カマラ・ハリス米国副大統領の主催により、APEC首脳会議に出席している日・米・韓・豪・カナダ・ニュージーランドの首脳級による緊急会合が開催され、岸田総理が出席しました。6か国の首脳は、本日の弾道ミサイル発射を強く非難し、断じて容認できない点で一致しました。また、北朝鮮の完全な非核化に向けて連携を強化していくことで一致しました。
また、今次発射を受け、外務省の船越アジア大洋州局長は、本日、ソン・キム米国北朝鮮担当特別代表およびキム・ゴン韓国外交部朝鮮半島平和交渉本部長との間でそれぞれ電話にて意見交換を実施し、日米韓で緊密に連携していくことを確認しました。
これ以外に現時点で決まっている電話会談等はありませんが、政府としては国連安保理の場も含め、米国韓国をはじめ国際社会と緊密に連携して対応していきます。
また、我が国はニューヨークの国連代表部を通じて、米国や韓国等との連携を確認したところであり、安保理会合開催等については、我が国の立場を踏まえ、適切な対応を働きかけているところであります。
――関連で伺います。本日開かれたNSCでは北朝鮮のミサイル発射を受けた朝鮮半島の緊張の高まりに関する事実関係の確認や分析を行ったということですが、更なるミサイル発射や核実験の兆候についての分析について伺います。また、北朝鮮は累次のミサイル発射や談話発表などで、挑発の度合いを高めていることについての受け止めについても合わせてお聞きします。
○松野官房長官
北朝鮮が本日発射した弾道ミサイルについては、すでに防衛省から発表した通りであり、これ以上の詳細については現在防衛省において分析を進めているところであります。今回を含め、北朝鮮による弾道ミサイル発射の意図について、我が方から断定的にお答えすることは差し控えますが、どういった狙いがあるにせよ、北朝鮮による挑発をエスカレートさせる一連の行動は、我が国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすもので、断じて容認できません。政府としては、これまでもお伝えしてきている通り、北朝鮮が今後、核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性はあるものと考えていますが、これ以上の詳細については、事柄の性質上お答えすることは差し控えさせていただきます。政府としては、引き続き、米国、韓国等とも緊密に連携しつつ、関連する安保理決議などの遵守を求めていくとともに、国民の生命、財産を守るべく情報収集や警戒監視等に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期していく考えであります。
――旧統一教会問題を巡る被害者救済について伺います。政府は、きょう午後、旧統一教会問題を巡り、被害者救済のための新たな法案の概要を与野党の幹事長、書記局長に提示しました。改めて新法を作ることの意義や狙いについて教えて下さい。また、国会への提出時期など今後の政府の対応方針についても合わせてお願いします。
○松野官房長官
本日、悪質な献金等の被害者救済に向けた被害救済再発防止のための寄付適正化の仕組みについて、与野党の幹事長等により議論が行われたことは承知をしています。新規立法については、先日、総理の発言もあった通り、消費者契約法の対象とならない寄付一般について、社会的に許容しがたい、悪質な勧誘行為を禁止すること。そうした悪質な勧誘行為に基づく寄付について、取り消しを可能とすること。子や配偶者に生じた被害の救済を可能とすること等を主な内容として、消費者庁において検討しています。法案の内容、スケジュールについては、現在調整中でありますが、政府としては、各党のご意見も参考にしながら、今国会を視野にできる限り早く法案を提出すべく検討を進めてまいりたいと考えております。
――北朝鮮のミサイル発射に戻ります。今回、政府はミサイルが上空を通過しないなどの理由でJアラートを発出しませんでしたが、特に排他的経済水域内に落下する場合の周辺住民への情報発信について、今回の発信方法は適切だったか、また、改善すべき点はないか政府の見解を伺います。
○松野官房長官
本日の北朝鮮による弾道ミサイル発射については、海上保安庁がミサイルの落下予測時間や落下予測地点をあらかじめお知らせするとともに、周辺を航行する船舶に対し、落下物を認めた場合に近づくことのないよう注意喚起を行うなどしたところであります。加えて、防衛省においても関連する情報を発信したほか、私からも記者会見を通じてその時点で把握している情報をお伝えしたところであり、現時点で問題があったとは考えていません。政府としては、国民の生命財産を守るべく引き続き情報収集や警戒監視等に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期していきます。
――10増10減の法案について伺います。本日の参院本会議で衆院小選挙区定数10増10減を反映した改正公選法が可決、成立しました。一票の格差が2倍未満に縮小され、司法から違憲状態と判断される状態から脱することになるが、受け止めをお願いします。
○松野官房長官
いわゆる一票の格差を是正する公職選挙法の一部改正法案が本日、参議院本会議において可決されました。今回の区割り改定はアダムズ方式での定数配分による初めての区割り改定であり、選挙区間の人口格差の是正に寄与するものと考えています。今後、政府としては選挙人をはじめ関係者に混乱が生じることがないよう、周知、啓発を図ってまいりたいと考えております。
――寺田稔総務相の相次ぐ政治とカネ問題を巡り、野党から辞任を求める声が出ているほか、公明党の石井幹事長が「次から次へといろんな問題が出ている」と苦言を呈するなど、与党からも厳しい意見が出ています。来週から始まる補正予算案審議の中でも、野党は追及を強める構えですが、政治資金を所管する総務大臣として職務を続けることが適切と考えるのか。ご所見を伺います。
○松野官房長官
政治資金などに関して指摘されている事項については、寺田大臣より説明を行ってきているところであり、引き続き、政治家としての責任において適切に説明することが重要であると考えています。
――あす予定されていました、サウジアラビアのムハンマド・サルマン皇太子兼首相の来日が急に中止になりました。これについて日本政府がお分かりになっていることを教えてください。
○松野官房長官
ムハンマド・サウジアラビア王国皇太子兼首相の訪日については、何ら決まっていません。その上で申し上げれば、我が国として戦略的パートナーであるサウジアラビアとの関係を極めて重視しており、双方の都合の良い時期に両国間でのハイレベル訪問が早期に実現することは非常に重要だと考えています。
――今回、サルマン皇太子権首相が来日されて、20日に岸田総理と会見予定だという報道がありました。また、21日にはビジネスフォーラムが開催されまして、協力覚書の締結式などを開催予定ということで、具体的な予定が組まれていたんですが、こういうところもご存じなかったということでしょうか。
○松野官房長官
繰り返しになりますが、ムハンマド・サウジアラビア王国皇太子兼首相の訪日については、何ら決まったものではありません。