【全文】日本政府がIAEAに防弾車経費を支援 松野官房長官(11/18午前)
松野官房長官は、18日午前の会見で、ウクライナのザポリージャ原子力発電所等にIAEAの専門家が移動する際に使用する防弾車4台の経費として約84万ドルを支援することを決定したと述べました。
<会見トピックス>
▽APEC首脳会合
▽消費者物価指数
▽ミャンマー邦人帰国
▽習近平主席の国賓来日
▽積み立てNISA
▽IAEAへの支援
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。一般案件等 13 件、法律案、人事が決定されました。大臣発言として、総務大臣から消費者物価指数についてご発言がありました。私からは以上です。
――APEC首脳会議ついて伺います。APEC首脳会議は今日タイ・バンコクで開幕し、ロシアによるウクライナ侵攻がエネルギーや食料価格高騰など世界経済に与えている影響などについて議論する見込みです。ロシアへの対応を巡って各国間で意見の隔たりがある中、首脳宣言を採択できるかどうか見通せない状況の一方で、APECとして気候変動の取り組みや目標を示すバンコク目標が採択されるかも注目点の一つです。今回の首脳会議で政府として期待する成果や各国にどういった働き掛けをしていくか伺います。
○松野官房長官
本18日から19日までタイのバンコクにおいて、APEC首脳会議が開催され、岸田総理が出席します。今回の会合においてはポストコロナにおける経済成長に向けて、貿易と投資が果たしうる役割や食料、エネルギーの問題など、現下の国際情勢における重要課題について、日本の立場と取り組みを積極的に発信していく考えであります。また、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中、アジア太平洋地域の経済発展の大前提としての平和と安定が不可欠であるとのメッセージを発信する考えであります。
――先ほど発表された消費者物価指数について伺います。去年の同じ月からの上昇率が40年8カ月ぶりの高い水準となりました。受け止めをお聞きします。また賃金の上昇が物価の上昇に追い付かず、家計への負担が増す傾向が続く状況ですけれども、どのように対策を講じていく考えか伺います。
○松野官房長官
本日公表された10月の消費者物価指数は総合で前年同月比プラス3・7%、生鮮食品を除く総合で前年同月比プラス3・6%となりました。内訳をみると、原材料価格の上昇や円安の影響により、光熱費や食料品など日常生活に密着した品目で値上げが続いており、こうした物価上昇から国民の生活を守っていく必要があります。政府としてはこれまで燃料油等価格の激変緩和措置、輸入小麦の政府売り渡し価格の据え置きや配合飼料負担の上昇を抑制する措置、低所得世帯への給付金など累次にわたる対策を講じてきたところであります。さらに先般策定した総合経済対策において物価高の主な要因であるエネルギーと食品に的を絞って、効果的な施策を盛り込むとともに構造的な賃上げに向けて人への投資の抜本的強化や成長分野への労働移動を同時に強力に推進していくこととしています。今後、総合経済対策の裏付けとなる補正予算の早期成立に全力を挙げ、各施策を速やかにお届けすることで国民生活と事業活動を守り抜いていく考えであります。
――ミャンマー邦人解放について伺います。ミャンマーで拘束されていた映像作家の久保田徹さんがけさ日本に帰国しました。改めて無事に帰国されたことへの受け止めをお願いします。
○松野官房長官
本18日朝、ミャンマーで拘束されていた久保田徹氏が帰国しました。久保田氏の健康状態に特に問題がないことを確認しています。政府はミャンマー当局に対し久保田氏の早期解放を累次にわたり強く求めるとともに、邦人保護の観点から、久保田氏に対する領事面会やご家族への連絡等の支援を続けてきました。海外に渡航滞在する邦人の安全確保は政府の最も重要な責務の一つであり、引き続き邦人の安全確保のために万全を期すとともに、ミャンマー側に対し、事態の改善に向けて強く働きかけていく考えであります。
――日中関係について伺います。17日に行われた日中首脳会談では、安定的関係の構築やハイレベルでの対話の再開などについて一致しましたが、コロナ禍前に準備が進められていた習近平主席の国賓来日について今後調整を進めていく考えはあるのでしょうか。
○松野官房長官
きのう行われた日中首脳会談において、習近平主席の訪日に関するやりとりはありませんでした。いずれにせよ、昨日の会談は、建設的かつ安定的な日中関係を構築していく上の対話を進めていく上で、よいスタートとなりました。会談で両首脳が一致した通り、引き続き首脳レベルを含め、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていく考えであります。
――積み立てNISAについて伺います。政府・与党は2023年度税制改正で、積み立てNISAについて、非課税期間を20年から無期限にすると検討、年40万円の投資上限額を引き上げる案もあると一部報道があります。岸田総理はすでにNISAの恒久化を表明していますが、非課税期間を無期限化とする狙いと、現在の検討状況について伺います。
○松野官房長官
金融庁の税制改正要望では、NISA制度について、簡素でわかりやすく、使い勝手の良い制度とする観点から、非課税期間の無期限化や、年間投資上限額の引き上げなどの要望が行われているものと承知をしています。NISAについては、貯蓄から投資へを進める「資産所得倍増プラン」に盛りこむべき施策の一つとして、抜本的な拡充を進めることとしており、今後、年末に向けて与党の税制調査会の議論を踏まえて、具体的な見直しを検討してまいりたいと考えております。
――IAEAのへの支援について伺います。ザポリージャ原発の安全性への懸念が広がるなどする中、グロッシ事務局長はウクライナでの活動に使われる特殊車両の供与を日本が決定したと SNSに投稿した。事実関係と、唯一の戦争被爆国である、原発事故も経験している日本政府として期待することを伺います。
○松野官房長官
ロシアによる原発の占拠を含め、同国の一連の行為は決して許されない暴挙であり、東電福島第1原子力発電所事故を経験した我が国として強く非難します。その上で、ウクライナにおける原子力安全および核セキュリティ保障措置の確保に向けたIAEAの取り組みを高く評価しており、これまでIAEAを支援してきました。今般、政府として、ウクライナのザポリージャ原子力発電所等にIAEA専門家が移動する際に使用する防弾車4台の経費として約84万ドルを支援することを決定し、グロッシ事務局長から謝意の表明があったところであります。今回、支援した車両がIAEAのウクライナにおける活動を安全かつ円滑に実施するために活用され、同国の原子力施設の安全確保等に寄与することを期待します。引き続き、G7各国や国際社会と緊密に連携しつつ、IAEAの取り組みを後押ししていきたいと考えております。
――今週末、岸田総理と会談が調整されていたサウジアラビアのムハンマド皇太子が訪日をキャンセルしたという情報がJNNの取材で分かりました。もし詳細が分かれば、教えてください。
○松野官房長官
ムハンマド・サウジアラビア王国皇太子兼首相の訪日については何ら決まっていません。その上で申し上げれば、我が国として戦略的パートナーであるサウジアラビアとの関係を極めて重視しており、双方の都合の良い時期に両国間でのハイレベル訪問が早期に実現することは非常に重要だと考えています。