【全文】「北朝鮮が核実験実施含め、さらなる挑発行為に出る可能性」松野官房長官(10/4午前)
松野官房長官は、4日午前の会見で、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことについて、「今後北朝鮮が核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性はある」と述べました。
<会見トピックス>
▽北朝鮮弾道ミサイル発射
▽反撃能力の保有・整備
▽ロシア領事の国外退去報道
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
まず、本日付の内閣総理大臣秘書官の人事はお配りをした通りでございます。
私からは以上です。
――北朝鮮ミサイル。
関係国との連携についてお聞きしますが、アメリカと韓国との連携はどのように進める考えなのか。
総理をはじめ、政府高官や関係省庁の幹部などによる電話会談の実施や予定はあるのか伺います。
あわせてアメリカのインド太平洋軍司令官が訪日中でありまして、長官も面会予定となっておりますが、どのような議論したいかを聞きします。
○松野官房長官
岸田総理や関係閣僚をはじめとした政府高官による電話会談については調整中でありますが、訪日中のジョン・アクイリノ米インド太平洋軍司令官との会談の機会も含め、日米、日米韓で緊密に連携をしていく考えであります。
本日の弾道ミサイル発射を受け、秋葉国家安全保障局長がサリバン米国国家安全保障担当大統領補佐官と電話会談を行い、日米、日米韓をはじめとする関係各国や国際社会との協力連携をさらに強化することで一致し、そのための具体的方策につき協議を致しました。
また、船越外務省アジア太平州局長はソン・キム米国北朝鮮担当特別代表および金健韓国外交部朝鮮半島平和交渉本部長との間で三者間で電話協議を実施し、日米韓で緊密に連携していくことを確認しました。
――Jアラートについて。
北朝鮮の弾道ミサイルの発射を知らせると共に避難を呼びかける最初のJアラートが午前7時27分に出されました。
Jアラートに驚いた国民もいると思いますが、JアラートとEm-Netとはどのようなシステムなのか。
またJアラートとEm-Netを出すのは今回が何回目なのか。
○松野官房長官
Jアラートは弾道ミサイルなどの情報を注意が必要となる地域の国民の皆様に、市町村防災行政無線等により、伝達するシステムであり、Em-Netは全国の地方公共団体や指定公共機関に対し文字情報として伝達するシステムであります。
北朝鮮から発射された弾道ミサイルに関してJアラート等を送信したのは今回を含め5回目となります。
――今回のミサイル発射が7時22分で、Jアラートが発令したのが7時27分頃でした。
ミサイルが太平洋を通過したのが29分頃だったことを考えると、万が一に住民の避難への時間は2分ほどになる。
この2分という時間は妥当だったか。
Jアラート発令の時間短縮など更なる国民の安心安全の確保に向けて改善策の必要についてもご見解をお願いします。
○松野官房長官
今回の事案においては、防衛省から内閣官房へミサイルが我が国の上空を通過する可能性がある旨及び飛来するミサイルに注意が必要となる地域が北海道である旨の情報が伝達されたことを受け、7時27分、直ちにミサイルが発射された旨の情報を北海道に対して伝達したところであります。
その後、防衛省から内閣官房へ飛来するミサイルに注意が必要となる地域として、青森県を追加する旨の情報が伝達されたことを受け、7時29分、直ちに青森県に対して、発射情報を伝達したところであります。
Jアラートによる伝達については、防衛省からの各情報の提供後、直ちに官邸から送信を行っておりますが、いずれにせよ、国民に対する速やかな情報伝達については、引き続き、関係省庁と不断の検討を進め、国民の安全安心のため迅速且つ的確な情報提供に努めて参りたいと考えております。
――核実験を含むさらなる挑発行為について伺います。
アメリカの研究グループは、衛星写真を分析した結果、北朝鮮による核実験は今後も繰り返される可能性を指摘しました。
核実験や追加の弾道ミサイル発射など北朝鮮がさらなる挑発行為に出る可能性はあると考えているか。
分析状況と警戒監視の対応について伺います。
○松野官房長官
北朝鮮の核ミサイルに関する動向については、政府として重大な関心を持って平素から情報収集分析に努めています。
今後、北朝鮮が核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性はあると考えていますが、個々の具体的な情報の内容や分析については事柄の性質上コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
引き続き、米国とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析および警戒・監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携していく考えであります。
――今回のミサイルが日本上空を飛び越えたことで自民党議員からは反撃能力の整備の検討を加速すべきとの意見が出ている。
防衛力強化や反撃能力の議論に今回のミサイル発射がどのように影響するか。
○松野官房長官
我が国周辺においては、相当数の弾道ミサイルが開発、配備されており、それらはひとたび発射されれば極めて短時間で我が国に到達し、国民の生命、財産に甚大は被害を与える恐れがあります。
最近では、極超音速核兵器や変則軌道で飛翔するミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化しています。
特に、北朝鮮はかつてない頻度で新たな態様でのミサイル発射を繰り返しており、昨今の北朝鮮による核、ミサイル関連技術の著しい発展は我が国および地域の安全保障にとって看過できません。
こうした状況を踏まえ国民の命や暮らしを守るために十分な備えができてるのかという問題意識のもとミサイルの迎撃能力の向上だけでなく、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであります。
具体的な検討内容等についてお話しできる段階にはありませんが、新たな国家安全保障戦略等を策定していく過程で憲法および国際法の範囲内であらゆる選択肢を排除せずしっかりと検討していきたいと考えております。
――岸田総理のミサイル対応。
北朝鮮がミサイルを発射したのは午前7時22分頃ですが、総理が官邸に出邸したのは午前8時21分でした。
その間総理は何をされていたのか。
迅速な対応だったとお考えか。
○松野官房長官
総理については、ミサイル発射直後に総理公邸において秘書官から直ちに報告を受け、必要な指示を出されたと承知をしており、対応が遅いとの批判は当たらないと認識をしています。
――国民保護について。
台湾有事の懸念もあるなか、シェルターを整備する必要性など、国民保護の課題についてどう考えているのか、政府の認識を伺う。
○松野官房長官
政府としては従前からご指摘の事態を想定した避難施設のあり方に関し、一定期間滞在可能な施設とする場合に、必要な機能や課題等について、諸外国の調査も行うなどして検討を進めてきているところです。
また、令和3年度からコンクリート造り等の堅牢な建築物や地下施設を、緊急一時避難施設と位置づけ、その指定の促進に集中的に取り組んでいるところであります。
こうした取り組みも含め、国民の安全・安心のため、国民保護の取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。
――冒頭発表があった総理大臣秘書官の人事だが、岸田翔太郎さんは総理の長男だと思うが、今回の人事の狙いの説明を。
○松野官房長官
個別の人事についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
人事は本人の人格、識見を踏まえ、適材適所の考え方で行っているものであり、今回の人事も同様の考え方によりご判断されたものと承知をしています。
――ロシアの領事追放について伺う。
先月、ロシア政府が在ウラジオストク日本総領事館の領事を一時拘束し国外退去させたことへの対抗措置として、日本に駐在するロシアの領事一人を国外退去させる方向で調整に入ったとの報道がある。
これについての事実関係を伺う。
○松野官房長官
本件については先週申し上げた通り、在ウラジオストク総領事館の館員が、ロシア側が主張するような違法な活動を行ったという事実は全くありません。
威圧的な取り調べなどのロシア側の行為は、領事関係に関するウィーン条約および日ソ領事条約の明白かつ重大な違反であり、極めて遺憾であり、決して受け入れられません。
それに加えて当該館員に対し、ペルソナノングラータを通告したことは信じがたい行為であり、ロシア側に強く抗議しました。
ロシア側が日本の抗議と申し入れを真剣に受け止めることを引き続き強く求めています。
その上で相応の措置について現在検討中でありますが、その内容について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。