食害に鳴き声被害も… 鎌倉に“特定外来生物”タイワンリス 生息範囲が拡大か?
神奈川の人気観光地・鎌倉に生息する野生のタイワンリス。その数が増加している可能性があり、今後、生息範囲が東京などにも広がる恐れがあるといいます。
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29日、神奈川県の人気観光地・鎌倉を訪れると、リスが姿を見せました。住宅の壁にも、もぞもぞと動くリスが確認できました。タイワンリスとみられます。
時には、電線から木にジャンプする様子も見られました。人なれしているのか、近づいても逃げることはありません。
鎌倉から離れた同じ県内の神奈川・三浦市でも今年6月、屋根の上をさっそうと走る姿が目撃されています。その様子を撮影した人は――
撮影者
「またいた! みたいな」
――いつからいる
撮影者
「5年ぐらいとか、たつかな」
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いま、このタイワンリスの生息範囲が拡大しているといいます。
タイワンリスはその名の通り、元々は台湾などに生息していました。外来種の中でも、人や生態系に影響を及ぼす可能性のある特定外来生物に指定されています。
鎌倉の住宅街で目撃情報が相次いでいて、28日に訪れると、何かくわえたリスがパイプをつたって進む様子や、木を器用につたって渡る様子などが見られました。
ただ、鎌倉市民にとっては当たり前の存在のようです。
鎌倉市民
「家の前の木の枝を走り回ったり、よくしてます」
しかし、被害がないわけではなく、“果物を食害される”という人もいます。
鎌倉市民
「これが黄色くなってくると、リスがわーっと来て、みんな食べてカスをこの辺に落としていく。もう、あきらめているというか、リスにプレゼントしている」
家に近づかないようにパイプにトゲをつけるなど対策をしても、やってくるタイワンリスは後を絶たないといいます。
鳴き声も住民の悩みの種になっていました。
鎌倉市民
「夜中ですよね。それで寝付けないから」
自治体もこの状況を受け、対策に乗り出していて、鎌倉市では現在、約200個のワナを市民に貸し出しています。
周辺の木々を荒らされないようにワナを設置したマンションでは、ワナを仕掛けるたびに、タイワンリスがかかるといいます。今年は、すでに13匹を捕獲したということです。
ネズミ用のワナにタイワンリスがかかっていたという住宅もありました。
鎌倉市によると、昨年度は1092匹のタイワンリスが捕まっているということです。
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タイワンリスの捕獲などをする団体は、今年“ある傾向”が目立つと話します。
NPO法人 三浦半島生物多様性保全・天白牧夫さん
「今年の夏は妊娠中だったり、授乳中だったり、繁殖に関わっている個体が全体の半数ほどいた。おそらく、今年の冬は例年以上に、多くのタイワンリスを目にする機会が増えるのではないか」
“生息範囲を拡大させ、今後、東京都心でも人の目につくようになるのではないか”と指摘しました。ワナを設置し、早い段階での捕獲が大切だということです。