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熱海で救助続く…断水も 広がる支援の輪

2021年7月8日 5:52
熱海で救助続く…断水も 広がる支援の輪

熱海市の土石流災害では、発生から5日目となった7日も、25人の方の安否がわかっていません。


■厳しい暑さと雨の中、続けられる捜索

7日、熱海市では今年初めての真夏日となりました。厳しい蒸し暑さと、時折、大粒の雨が降る中、1700人態勢で捜索が続けられました。手作業で行われる土砂などの撤去。これまでに降り続いた雨で濁流が勢いを増す中、民家の2階の窓から中に入り、行方不明者を捜す様子も。

土石流がもたらした、甚大な被害。これまでに7人の死亡が確認され、いまだ25人の安否がわかっていません(7日午後5時現在)。

夫の徹さん(71)の行方がわかっていない小川けい子さんは、この日も現場を訪れていました。

──家から何を持ってきた?

小川けい子さん「写真。レスキュー隊の方が取ってきてくれてね」

救助隊がとってきてくれた家族写真を持ち、現場をあとにしました。

小川けい子さん「びっくりしたけど、よかったです。持って帰るものがあるから」

また、被災地には亡くなった小磯尚子さん(61)の親族、小磯吉範さん(66)の姿もありました。

小磯吉範さん「同級生とか知り合いが流されて、1人亡くなっているのが分かって。もう泣きましたよ」

亡くなった小磯さんと最後に話したのは、2週間ほど前だったといいます。

小磯吉範さん「たまに帰ってきて見てたけどね。まさかそれが最後になるって思ってなかったし、ただ普通の『駐車場ちょっと借りるよ』くらいで、『じゃあまたよ』って。いや言葉でないですよ」


■消防団員「早く助け出したい」

二次災害の危険と隣り合わせの中、消防団員らが集まり話していたのは……

消防団員「72時間というのが過ぎてしまいまして、早く助け出したい、その気持ちで救助活動をしております」

周辺には泥まみれになった靴やバッグなどが。

自宅のすぐ近くまで土石流が襲った消防団員の松本早人さん。

松本早人さん「救出を待ってる人がまだいるので、全力で努力していくよう心がけています。自分が46年間生まれ育った環境なので、家がなくなった方とか、そういう人たちとまるっきり同じ気持ちで対応するつもりでいます」

7日の救助活動は午後6時に終了。新たに救助された人はいませんでした。


■土石流は海にまで…

今回の土石流は、海にまで達していました。大熱海漁業協同組合の組合長が見せてくれたのは、大量の土砂にまみれた船や組合の詰め所の様子。

組合長「うわーまじって感じで。船がここまで動くのもすごいけど、泥がすごいなって」

土砂は家族でクリーニング店を営んでいる岡本政夫さんの店にも。

岡本政夫さん「朝の8時すぎからずっと片付けて」

7人ほどの知人の安否がいまだわかっていないという岡本さん。この地域の地盤は大丈夫だと思っていたといいます。

岡本政夫さん「なんて言っていいかわからないけど、まさかここまで来るとは思わなかった。先がまだ見えない。しょうがない、頑張ってやるしかないです。まず水が出ないことが一番大変、電気はどうにか来てるけど」


■続く断水…広がる支援の輪

災害現場ではいまも水が出ないため、給水所では、全身泥だらけになった救助犬を隊員らが洗い流していました。

給水に来た住民「これで2度目。トイレで使うから」

タンクいっぱいに入れた水を運んでいきますが、水を落としてしまいます。かけつけた男性に助けられながら、自宅へと戻っていきました。

熱海市伊豆山地区のおよそ1100件で続く断水。市内の温泉施設では……

温泉施設の従業員「お風呂のほうで不便がかかっているということで、無料開放にいたりました」

被災された方のほか、自衛隊などにも無料で開放するということです。

支援の輪はほかにも。熱海市の温泉街にあるラーメン店では、熱海在住の皆様また災害のために来た人に対して、ラーメンなどを無料で提供するとした張り紙が。土石流の被害にあったという2人が食べに来ていました。

 「生きた心地しない。(土砂が)すぐそこまで来てる」
 「死んだと思ったよ」
 「4日間寝られない。思い出しちゃってその場面」

いまもホテルでの避難生活が続いています。

現在、ホテルに避難している人は545人(7日午後5時現在 熱海市による)。このうち490人が避難しているホテルでは、机などに大量の洋服が並び、食べ物や飲み物の段ボールの山が。全国から支援物資が届いています。中には応援メッセージが貼られたものもありました。

市の担当者「かなり多数の物資を頂戴しまして、いったん物資の受け入れを止めている状況です」

熱海市役所によると、仕分けが追いつかず、一時受け入れをストップしているといいます。

市の担当者「着の身着のままで家からほとんど何も持ち出せずに避難されている方もいらっしゃる。本当にありがたいなと心から感謝を申し上げる」

5日から開設されている、熱海市の災害ボランティアセンターでは、1750人が事前登録をしているということです(7日午前8時時点 ※登録対象は県東部地区に住む人のみ)。