新型コロナ 半年後も4人に1人に後遺症
国立国際医療研究センターは、新型コロナウイルス感染症の後遺症について患者にアンケートを行いました。女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすく、若年者でやせ形であるほど味覚・嗅覚障害が出やすいことがわかったということです。
このアンケートは、国立国際医療研究センター国際感染症センター(東京・新宿)が行ったもので、新型コロナウイルス感染症の患者526人に対し行い、457人から回答を得たということです。
■半年後も約4人に1人に何らかの症状残る
その結果、新型コロナウイルス感染症の発症もしくは診断された時から6か月経過した時点では、無症状は337人(73.7%)で、何らかの症状が残っている人は120人(26.3%)でした。罹患後半年経過しても約4人に1人が何らかの症状が残っていることがわかりました。また、1年後は、無症状は417人(91.2%)で、40人(8.8%)に何らかの症状が残っていたということです。
回答者の8割を超える人が酸素の投与を必要としない軽症者で、軽症者であっても症状が残り続け、長引く人がいることも明らかになったということです。
■症状が長く残るリスクは?
また、倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、脱毛について、症状が出るリスクと症状が長く残るリスクについても調べたということです。
その結果――
・記憶力の低下:6か月後11.4%(2人)、12か月後5.5%(25人)
・集中力の低下:6か月後9.8%(45人)、12か月後4.8%(22人)
・抑うつ:6か月後8.1%(37人)、12か月後3.3%(15人)
・脱毛:6か月後3.1%(14人)、12か月後0.4%(2人)
だったということです。
また、(1)男性よりも女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が生じやすく、味覚障害が残ること。(2)若年者、やせ形であるほど、味覚・嗅覚障害が出やすいことがわかったということです。
■結果について研究責任者は
この研究の責任者、森岡慎一郎国際感染症対策室医長は、今回の調査は選択式のアンケートのため、主観的で対象者に偏りなどが生じることがあることも前提にしながら――
(1)女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が生じやすいという結果について、「世界的にも女性は色々な後遺症が出やすいとされている。女性がなぜ後遺症の発現が高いのか、原因はわからないというのが正直なところ。ホルモンの違いなのかなど調べていかなくてはいけないところではある」としています。
また、(2)若年者ややせ形であるほど味覚・嗅覚障害が出やすい。老齢者や肥満の人の方が急性期に重症化しやすいというリスクと違う点については、「なぜ真逆になるかはわからない。我々も不思議だと思っている。ただ、今回の研究では、症状が出現しやすいかどうかはわかったが、症状の重さや程度までは聞いていない。例えば、脱毛についてもどれだけ毛髪がなくなったのかはわからない」今後については、「追跡調査をし、長期的に見ていかなくてはならない。後遺症の薬、創薬も視野にいれています」と話しています。