「賃上げ税制」拡大検討…飲食店・企業の声
来年度の税制改正の柱として検討されているのが、「賃上げ税制」の拡大。人手不足の飲食店の実情や、賃金アップのための取り組みを始めている企業を取材しました。
◇
東京・北区にある焼き肉店。年末の繁忙期のため、本来、多くの客でにぎわうはずですが…。
焼き肉店オーナー
「12月は火曜日も今、定休日にしていますね…」
コロナの影響もあり、従業員らが辞め人手不足になり、定休日でない日も、今月から休まざるをえなくなったといいます。
焼き肉店オーナー
「従業員がいないとお店は回らないし、やっぱり人材・人を確保することにお金を投資できたらいいかなと思います」
こうした中、政府が打ち出したのは──
岸田首相
「給与を引き上げた企業を支援するための税制を、抜本的に強化します。企業の税額控除率を大胆に引き上げます」
来年度の税制改正の柱として検討されているのが、「賃上げ税制」の拡大です。
例えば中小企業の場合、法人税の控除率は現在、25%です。最終調整している案では、すべての従業員の給与の総額を2.5%増やすと、控除率が30%になるということです。
さらに、従業員に必要な研修などに使われる「教育訓練費」を増やすと、控除率が10%上乗せされ、最大40%に引き上げられる方向です。
焼き肉店オーナー
「その分、僕は基本的には従業員に還元したいとすごく思ってる。ただ、そもそもうちが会社として、コロナで赤字決算が続いているので、その対象にはならないので」
赤字の企業は、法人税の支払いがそもそもゼロ。そうした赤字企業には恩恵がないため、政府は中小企業向けの補助金に特別枠を作ることも検討しています。
◇
一方、埼玉県にある豆菓子をあつかう工場では、3年前、パートを含む全従業員29人の基本給を上げたといいますが、さらなる賃上げについては──
ミツヤ執行役員 湊弘充さん
「もちろん(控除率引き上げの)制度があったほうがやりやすいです。来年やろうと思っていたものを『じゃあ、今年やろうか』ということにもつながってきますので」
具体的には検討中だといいますが、実はこの工場では、すでに始めている賃金アップのための取り組みもあります。
健康志向の人をターゲットにした新しい商品の発売。また、作業効率を上げ残業時間を減らすことで、その分の残業代を充て基本給をアップしています。
従業員
「それぞれ工夫して帰れるときに帰ろう、という取り組みをして、(残業時間)半分とかには抑えたかなと思っています」
ただ、政府の「賃上げ税制」について、湊さんは「一時的な税制の優遇措置であった場合、単発的に終わってしまいますので、売り上げと効率よく作る(ことが大事)。(政府には)継続的な景気の拡大ですね。ゆるやかなインフレの継続をお願いしたい」と話しました。
(12月7日放送『news zero』より)