世界初マダニ媒介の「オズウイルス」で死亡例
厚生労働省は、草原などにいるマダニが媒介する「オズウイルス」に感染した人が去年死亡していたことを明らかにしました。このウイルスに感染した人で症状が出た(発症)例や死亡例は世界で初めてだと言うことです。
オズウイルスに感染したのは茨城県の70代の女性で、去年初夏に、倦怠感、嘔吐、発熱などの症状が確認され心筋炎で死亡したということです。
この女性は入院した際、足にマダニがついた状態で、その後、女性の血液や心筋細胞からオズウイルスが検出され、この女性は、オズウイルスによる心筋炎で死亡したと診断されたということです。
オズウイルスは草原などにいるマダニが媒介するもので、これまで、このウイルスに感染した人間の発症や死亡例は確認されておらず、今回が世界で初めての報告だということです。
なお、オズウイルスに感染しても必ずしも死亡にいたるものではないとされていますが、現時点では有効な治療薬はなく、感染した場合は対症療法での治療になるということです。
このウイルスを媒介するマダニは衣類や寝具など家庭内にいるダニとは種類が異なり、森林や草原などで全国的に生息しています。春から秋にかけて活動が活発になるということで、厚労省は、マダニにかまれないよう、草むらなどに入る場合、長袖・長ズボン着用などで肌の露出を少なくするよう、注意を呼びかけています。
マダニが媒介するウイルスはこのほかにも多くあり、SFTSウイルスが知られていて、厚労省によりますと、日本国内で2022年だけでも12名の死亡事例が報告されたということです。