"農福連携"で増える働く場 障がい者とともに挑戦 越前水仙の収穫や空き家の片づけ 特性に合わせてマッチングを
障害のある人の働く場が変化してきています。高齢化が進む農作業の現場や各地で増える空き家の撤去作業のサポートなど、社会課題を解決するきっかけとなることも期待されています。
越前町内の畑で越前水仙の刈り取り作業をしているのは、就労支援を受けている障がい者の男性です。町では、越前水仙の刈り取りや出荷の作業を障がい者に委託する、いわゆる「農福連携」の導入を模索しています。
高齢化や担い手不足が深刻な越前水仙の栽培現場。町内の栽培農家の数は30人にとどまり、手入れされていない畑も増えています。この日はスイセンのブーケづくりにも挑戦。きれいにブーケが完成すると、男性からは笑みもこぼれました。
地域の課題解決へ、農福連携を呼びかけたのは地域おこし協力隊の男性です。
■越前町 地域おこし協力隊 吉田文武さん
「福祉施設の利用者にもいろんな特性の人がいる。外作業が好きな人には収穫を、中での作業が得意な人には中で選別をしてもらう。別々の人にしてもらうのもできる」
こちらは25年間、人が住んでいなかった越前市内の空き家。このほど、持ち主が維持管理の負担を理由に手放すことを決めました。
ただ、問題となるのが家財道具などの整理や撤去。そこで、市内の就労支援施設の利用者に肩代わりしてもらうことになりました。
■いかそっさ空き家 森田修二社長
「人手が増えて効率が上がる。オーナーも喜ぶし、結果的に空き家の循環につながるいいきっかけだと思う」
この日は3人の障がい者が参加し、およそ1時間かけて家電や骨とう品など車いっぱいの荷物を運び出しました。
■利用者
「いろいろな昔の道具があったり、見たことない家電がいっぱいで驚いた。いろんな人と協力してやれてよかった」
■就労継続支援B型事業所 ドリカムベース 倉田勝也代表取締役
「もともと一般就労を経験している利用者もいる。すごく生き生きと自分の力を発揮している」
回収した品はきれいにして、リサイクル品としてバザーに出品することに。売り上げは障がい者の工賃になります。
■就労継続支援B型事業所 ドリカムベース 倉田勝也代表取締役
「広く一般企業の方の理解が増えて、うちでやっている仕事が福祉施設でできるということあれば、私どもに投げかけてほしい。我々も利用者もその要望に精一杯応えていきたい」
少しずつ変化し始めている障がい者の雇用の形。雇用の場の広がりで、社会課題の解決にもつながることが期待されます。