【特集】台風19号災害から5年①左官職人が奮闘 歴史的な建物残したい(1)
長野市で千曲川が氾濫した台風19号災害から、まもなく5年。当時、濁流が直撃して被害を受けた築200年余りの古民家がありました。
歴史的な建物を後世に伝えようと、レジェンドと評される左官職人も力を貸しました。
2019年10月、長野市で千曲川の堤防が決壊。その建物は、濁流にのみ込まれました。
あれから5年、ほとんど修理が進んでいなかった建物は、人で賑わっていました。
「くくるというよりも引っかけるって言うんですよ。これ千鳥編みって言うんですけどこう留めてこう留めてこういうふうに留めていく。こんな感じです。だんだんなんかリズムができてきた。ええ感じです」
職人の手ほどきで、土壁の中の骨組み、「小舞(こまい)」作りが行われていました。土壁を修復するワークショップ、題して「左官塾」です。
会場になったのは、長野市長沼、千曲川の堤防決壊地点から300メートル東にある、米澤家住宅。
決壊直後の映像で確認すると、泥水が流れ込む先に屋根だけ見えているのが、米澤家の2階建ての門です。
水害によって主屋は床上浸水で全壊、当初、家主の米澤さんは公費解体を申請していました。
しかし、この建物。実は、江戸時代に造られた貴重なものでした。度重なる水害や大地震の補修痕が残るほか、養蚕やリンゴの貯蔵のための特殊な造りがみられるなど、地域の歴史を物語る建物でした。
そこで、保存を望む有志たちが3年前に「しなの長沼・お屋敷保存会」を設立。米澤さんから20年間、建物を借り受けることになったのです。
「米澤邸保存会ではなくてこの長沼の町にはいわゆるお屋敷って言っていいようなものがたくさんあったんですけどもそれは言うなれば長沼の歴史そのものなんでそれを保存しようという思いがあってお屋敷保存会という名前にしたんですね。この米澤邸がすべてそれを記録してるってところがね。うんそうなの」
保存会立ち上げから3年、今年ついに、歴史的な建物である主屋の壁の修復が始まりました。
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