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拓殖大のテーマは「エースだけに頼らない駅伝」 絶対的エース不破聖衣来が不在も同期のキャプテンと頼もしいルーキーたちが誓う

2023年10月29日 9:00
拓殖大のテーマは「エースだけに頼らない駅伝」 絶対的エース不破聖衣来が不在も同期のキャプテンと頼もしいルーキーたちが誓う
キャプテンの門脇選手と不破選手
第41回全日本大学女子駅伝が29日正午すぎに号砲を迎えます。前回大会、エースが集まる5区で2年連続の区間賞を獲得したのが、拓殖大学の大黒柱・3年生の不破聖衣来選手です。

不破選手は当時1年生の2021年大会5区で、区間記録を1分以上縮める区間新記録をマーク。同年には10000メートルで日本歴代3位の記録を出した学生陸上界トップランナーです。その目標は「2028年ロス五輪マラソンでの金メダル」と語ります。

■エースの不在の危機に奮起した同期の存在

異次元の走りでチームを引っ張ってきた不破さんですが 、1年生の時から怪我や貧血と戦ってきました。不破選手は「走りたいのに走れないっていうもどかしさが、すごく辛かった」と振り返ります。

今季も思うような結果が残せず、全日本は初めて出場できない可能性が生まれました。そんなチームのピンチに奮起したのは同期の門脇奈穂選手です。門脇選手は「聖衣来を頼ってしまう部分があったので。自分たちの力でちゃんとシード権が取れるような(チームになる)」と意気込みます。

1年生のときから全日本を走り、不破さんと共にチーム初の表彰台に貢献。今年、3年生ながらキャプテンに抜てきされました。

不破選手は「奈穂がキャプテンを任された時から、同期としてチームに貢献して少しでも助けられたらいいなと思っていた。でも奈穂はしっかりしているので助けられてばっかり」と信頼を寄せています。

チームを離れひとりで練習することもあった不破選手ですが「自分の体調をすごく心配してくれて、みんながいる場所があるから安心して1人でも合宿でもずっと頑張れるのかなと思う」とはにかみながら話します。

門脇選手は「こんなに前向きにやっているところが本当にすごいと思う。聖衣来が走れないときはその分まで頑張らなきゃと思うし、一緒に走れたら自分が聖衣来を助けられるような走りをしたい」とキャプテンとしての思いを語ります。不破選手の姿は、確実にチームにも影響を与えていました。

■エースだけに頼らない駅伝 頼もしい後輩とともに

不破選手に憧れ、頼もしいルーキーも仲間入りしました。小野真緒選手は「目標は駅伝で日本一になること」、岩崎麻知子選手は「区間賞の走りで拓殖大を優勝に導くことが目標です」と話します。

新戦力も加わり駅伝へ向けて8月の強化合宿。エース不破選手は別メニューとなり、キャプテン門脇選手を中心に1年生の岩崎選手、小野選手も積極的な走りを見せます。

「自分たちの力でシード権を」という思いに燃えて、設定タイムもクリア。

小野選手は「(不破選手が)積極的な走りがすごく良かったと褒めてくれて、その持ち味をこれから生かしていきたいと思った」と話し、岩崎選手は「『麻知子ちゃんはスピードがあるからもっと自信持ちなよ』と聖衣来さんに言ってもらえて自信になった」と、不破選手の言葉は後輩たちに力を与えます。

迎えたトラックレースでは、今シーズン7人が自己ベストを更新。関東学生新人選手権では、1年生たちが躍動。岩崎選手が5000メートルを16分30秒70で走り、大会新記録で優勝し、小野選手が1500メートルを4分29秒94の記録で、同じく優勝しました。

本番2週間前にチームは、不破選手の全日本欠場を発表。小野選手は「一人一人が自分の力を発揮することができれば、シード圏内は取れると思う」と話し、岩崎選手は「シードを獲得して、エースがいなくても拓殖が強いんだというのを見せつけたい」と先輩に心強いメッセージを送りました。

そして、キャプテンの門脇選手は「エースだけじゃなくてみんなも強いし、みんなも活躍しているのでそれを今回の駅伝で見せつけられたらなと思います。燃えています」と静かな闘志を見せました。

前回5位の拓殖大は、「エースだけに頼らない駅伝」で上位進出を目指します。

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