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【全日本大学駅伝選考会】城西大がトップ通過 東農大ルーキーが衝撃の走りで箱根駅伝にも期待

2023年6月18日 17:58
【全日本大学駅伝選考会】城西大がトップ通過 東農大ルーキーが衝撃の走りで箱根駅伝にも期待
東農大ルーキー・前田和摩選手は初の10000mレースでU20日本歴代2位
6月17日、全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会が相模原ギオンスタジアムで開催されました。1校8人が10000mを走り、その合計タイムで争う選考会で、上位7校に与えられる本大会の出場権をかけて激戦が繰り広げられました。

■盤石のレースで城西大がトップ通過

トップ通過を果たしたのは城西大学でした。1月の箱根駅伝で5年ぶりにシード権を獲得した勢いそのままに、盤石のレース運びを見せました。1組目では「僕で流れを作るというのは決めていた」という林晃耀選手(3年)が、見事にスターターの役割を果たしました。

午後5時で27度と気温が高く、強い西日が射すなか、スローペースの展開となりましたが、林選手は冷静にレースを進めます。

「ラスト1000mまで(先頭争いに)付ければ、僕のレースになると思って走りました」と振り返るように、9000mを過ぎて先頭争いに加わると、ライバルのきつそうな表情を確認し、残り400mでギアチェンジ。一気に引き離し、今シーズン初レースながら、狙い通りの1着フィニッシュを果たしました。

「ウォーミングアップ中に林がトップを取ったのを見て、勇気をもらった」と話すのは、3組目を任された主将の野村颯斗選手(4年)です。

残り1000mを切って、大東文化大学の2人を突き放すと、残り1周では先頭争いに追いつきます。そして、スパート合戦を制し、組トップでフィニッシュしました。

野村選手は、3月から4月にかけて故障し、今季は思うような走りをなかなかできずにいましたが、主将としてきっちりとチームの力になりました。

最終組では、箱根駅伝5区区間記録保持者の山本唯翔選手(4年)と留学生のヴィクター・キムタイ選手(2年)がともに28分台をマークし、それぞれ8位、12位と上位でフィニッシュ。城西大学が大東文化大学を逆転して、トップで3大会ぶりの本大会出場を決めました。

「ベストな8人をそろえることができた。チーム状況は良かったので、これはいけるかなって感じていました」と櫛部静二監督が言うように、前評判通りの走りを見せました。「今、選手たちは“駅伝”を欲していると思うので、一つ形にしたい。(本大会では)シード権を取りたいと思います」と伊勢路でも躍進を誓っていました。

■スーパールーキー前田和摩選手が大活躍。東農大が14年ぶりの伊勢路

また、東京農業大学が5位に入り、14大会ぶりに本大会の切符をつかみとりました。最大の功労者となったのは、1年生にして最終4組を任された前田和摩選手でした。

3組を終了した時点で東京農業大学は12位と出場圏外におり、ボーダーラインの7位とは約47秒の差がありました。同じ組を走った先輩の並木寧音選手(4年)から「自分たちが力を出したら(本大会に)いける。頑張ろう」と声をかけられた前田選手は、積極的なレースを見せました。

「思い切った判断ができたことが今日の結果につながったのかなって思います」と振り返るように、他校のエース格の選手でも自重するなか、東京国際大学のアモス・ベット選手(1年)ら留学生のハイペースに、思い切って付いていく判断をしました。そして、じわりじわりと他の日本選手が先頭集団からこぼれ落ちるなか、前田選手は最後まで食らい付きました。

「後悔するぐらいだったら、潰れてもいいので、思い切って前に出て勝負しようと思いました」

留学生が相手でも一歩も引かないどころか、ラスト1周では先頭を奪う見せ場も作ります。前田選手が仕掛けると、スタンドからは大きなどよめきも起こりました。

結局、最後は競り負けて3着に終わりましたが、堂々の日本選手トップ。自身の目標タイム(28分40秒切り)を大きく上回り、初めての10000mのレースでU 20日本歴代2位となる28分03秒51の好記録をマークしました。

5月の関東インカレでも2部5000mで4位に入るなど、すでにエースの風格が漂っていましたが、この大会でもスーパールーキーの存在感は際立っていました。

東京農業大学は、箱根駅伝出場69回を誇る名門ですが、2014年の第90回大会を最後に本大会出場が途絶えています。今季は、前田選手だけでなく、並木選手、高槻芳照選手(4年)と好選手が揃います。伊勢路に続き、10年ぶりに箱根路に返り咲くための好機を迎えています。

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