【解説】羽生選手にアクシデント何が?フィギュアスケート男子ショート 荒川静香が解説
フィギュアスケート男子ショートは初出場の鍵山優真選手が2位、平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨選手が3位、五輪3連覇がかかる羽生結弦選手はアクシデントに見舞われ8位に。3人の演技を日本テレビ系北京五輪メインキャスターの荒川静香さんが解説します。
■羽生結弦選手4回転が1回転に
ー羽生選手のショート冒頭、リンクにあった溝が原因で4回転サルコウの予定がシングルになりました
きょうこの瞬間に起こるとは。もう驚きといいますかぼう然としてしまいました。原因が溝だっただけに自分のコントロールのミスでもなく、どうしようもなかったと思います。回避するのはちょっと難しかったと思いますね。
■競技人生通してもまれ
ー溝にはまる確率は?
全くなくはないですけれども、ほぼ試合で起こるということは……。一試合で誰も足を取られないケースの方が多いです。競技人生でも私も一度だけ経験がありますが、その経験がある人の方が少ないんじゃないかというくらいの確率です。
■得点への影響は
ー溝にはまったことで得点への影響は?
ショートのルールでは、単独ジャンプはトリプルまたは4回転を跳ぶことが求められています。冒頭のジャンプは1回転になってしまったので、規定を満たせず、得点としてはゼロになってしまいました。羽生選手が予定していた4回転サルコウの基礎点は9.7ありますから、そこに羽生選手のできばえ点が加わると10点を大きく超えるジャンプだっただけに、今日とれなかった得点というのは大きいです。
ー去年12月の全日本選手権ではできばえ点も含めて14点以上上乗せしました
全ての技が滞りなく演技におさまった場合には、演技構成点などでも素晴らしい作品という評価につながるということで、今回はかなり大きな影響が出てしまいました。
■アクシデントからの切り替え
ーそれでもその後ミスなく終えましたね
そこが本当にさすがだなと思ったところです。あれだけミスをしない100発100中くらいの確率で飛んでいたジャンプであんなことになってしまうと動揺してもおかしくないのですが、すぐに切り替えて直後に4回転3回転、素晴らしい技でした。
ー羽生選手はどんな様子でしたか?
演技直後は何が起こったのか瞬時に理解し、アクシデント的だったということを認識しつつ、次に向けて気持ちを切り替えて挑むしかないという感じを受けました。
■フリーでは4回転アクセルに挑戦
ー4回転アクセル成功は?
かなりイメージが成功に近づいているなというのを見ていても感じますので思い切り挑戦して思いを全てリンクに出し切ってほしい
■初出場の鍵山選手がショート2位
ー1位はアメリカのネイサン・チェン選手、2位に日本の鍵山優真選手、3位は宇野昌磨選手です。鍵山選手のショートプログラムはどうでしたか?
初出場とは思えないほど堂々としていて、伸びやかにこの場を楽しめているなという自信あふれた演技でした。一つ一つの技のできばえも素晴らしかったですし何と言っても軽やかで、初々しさというのも力に変えながら滑っていたので本当に素晴らしい戦いでした。
■ショート3位の宇野選手は完成度「高」
ー3位の宇野選手はどうでしょうか?
宇野選手はここに来てこれまで苦しんできた4回転3回転もしっかりと組み込み、最初の4回転フリップなどは大きなできばえを伸ばすほどの素晴らしい演技でした。演技全体を通して完成度が高いと感じるショートプログラムでした。スピンやステップも素晴らしかったですし、滑り自体も伸びやかでした。