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“年収半減してでも…”日テレ社員→京都大学アメフトコーチへ異例の転身 諦めきれなかった夢とは

2023年9月16日 11:31
“年収半減してでも…”日テレ社員→京都大学アメフトコーチへ異例の転身 諦めきれなかった夢とは
日テレ社員→京大アメフトコーチへ転身した山本睦さん
“年収半減してでも成し遂げたい”

京都大学でアメリカンフットボール部に所属し、卒業後の2018年に日本テレビに入社した山本睦さん(31)。

入社後約5年間で報道記者、スポーツのディレクターを務めたのち、2022年12月に京都大学アメリカンフットボール部のディフェンスコーディネーターに転職しました。

「スポーツに携わる仕事をしたい」と選んだ日本テレビ。安定した収入を捨て、なぜ母校・京都大学のアメリカンフットボール部のコーチへ転身を決意したのでしょうか。

■年収半減も…「京大が日本一になれば面白い」とコーチに

学生時代に京大アメフト部でワイドレシーバーとして活躍した山本さんは、選手として活躍したのち留年した3年間でコーチとして後輩の指導を行っていました。その後、大好きなスポーツに関わる仕事がしたい、と日本テレビに入社。日本テレビスポーツ局にはスーパーボウル中継や『NFL倶楽部』などの番組があり、仕事でアメフトに関われるチャンスがありました。

しかし1年目で配属されたのは報道局。当初は戸惑いながらも、政治部の一員として安倍晋三元首相の担当記者などを務めました。

その活躍が買われた山本さんは、当初希望していたスポーツ局への異動が叶います。タイミングは東京五輪が開催される直前、2021年6月でした。

異動後は東京五輪のニュース制作や巨人担当としてプロ野球取材に関わるなど、満足したディレクター人生を送りながらも、仕事ではアメフトになかなか関われていませんでした。

そんななか山本さんは2022年12月、アメフトへの情熱を捨てきれずに一念発起して退職を決意しました。

なぜ安定した日本テレビでの生活を捨て、年収が半減してまで母校へ舞い戻ったのか。山本さんは次のように説明してくれました。

山本「人生において、京大で過ごした時間はインパクトがあって濃密でした。フットボールで京大が日本一になれば日本がひっくり返るくらい面白いと思って現役時代を過ごしていましたし、社会に出てもその思いは強かったです。そして、日本テレビで働かせてもらいながらも、『フットボールをやりたい』と思いながら週末に社会人アメフトチームでコーチをしていて、その時にお声がかかったのが一つの理由です」

さらに「スポーツ局の経験が非常に大きいです。ラグビーのワールドカップや東京五輪など、スポーツの力がスポーツをやっていない人のところまで波及する現象は、日本で度々起こっていると思います。その一番近くで取材する経験をさせてもらっている中で、自分も現場の人間になりたい、当事者だったらもっと気持ちが良いと思ったのが非常に印象的でした。日本テレビ以外に就職していたら、このように退職してコーチ業をしていなかったと思います」と続け、日本テレビ、特にスポーツ局で得た経験が、夢へと向かう山本さんの背中を押してくれたと話します。

■後輩に託した『日本一』――コーチ転身で母校を導く

京大では専任コーチとして守備部門を任される山本さん。専任コーチとは、いったいどんな仕事でどのように1日を過ごしているのでしょうか。


山本「基本的に毎日練習があるので、朝起きてから練習のための準備をします。スポーツ局の時は昼前、遅ければ昼過ぎに起きていましたが、そういう生活は一切なくなりました。チームの運営面も少し手伝っているので、その部分の仕事をやりつつ、ディフェンスコーディネーターとして藤田智ヘッドコーチとミーティングをした後、夕方に練習をして、帰宅後は練習の反省を繰り返す日々を送っています」

転職後は朝から晩までフットボール漬けの毎日を送っている山本さん。はたから見ると大きな決断をしたように思えますが、山本さん本人は「自分自身として大きな決断とは思っていません。自分勝手ですけど、自分のやりたいことができて、それが社会への貢献につながって、多少なりともお金ももらえれば、自分のやりたいことをやりたいと思っています。日本テレビは、報道からスポーツのように異動が転職みたいなものです。なので、次の道に進むところは違和感がなかったです」と、異世界への転身もまったく臆することはありませんでした。

山本「京大を卒業した時からですが、京大がアメフトで日本一になることが将来の夢です。多分、日本テレビに入社した時の自己紹介でも言っていたと思います。その時は後輩に託す意味で書いたのですが、今は自分で達成したいです」

関西学生アメフト界は、関西学院大学、立命館大学、関西大学など私学の強豪がひしめきますが、勝算は「あります。やります」と、山本さんは力強く宣言しました。

かつてはライスボウルを6度制した学生フットボールの名門、京大ギャングスターズ。その燦然と輝く栄光の時代を取り戻そうと、山本さんは指導者として母校へ帰ってきました。関西カレッジ界を制して、京大を日本一に導く。それが山本さんの夢の通り道です。

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